豪州最高峰RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップに来季2026年からの新規参入を決めているトヨタ陣営は、新シーズン開幕に先立ち参戦プロジェクトの行程や開発の裏側を記録したドキュメンタリーシリーズを初公開。現地9月1日のシドニーでお披露目される2026年型モデルに先立ち、その予告編となる第1弾ティーザー映像を公開した。

　トヨタのスーパーカー参戦までの道のりを描いたこのドキュメンタリーは、2024年9月に新規参入を発表して以降の舞台裏を切り取った映像とされ、その最初の発表から12カ月の間にTOYOTA GAZOO Racingオーストラリア（TGRA）は、ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドをホモロゲーションチームとして発表し、ブラッド・ジョーンズ・レーシングと新規契約を交わし、車両とエンジンに関する大規模なプロジェクトに着手した。

　今回初公開された映像は『GRスープラ・スーパーカーの誕生』と題され、このドキュメンタリーは地元の広告企業であるエアタイム・メディアが、トヨタやウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドと共同で制作したものだという。

　その予告編には、トヨタのショーン・ハンリー、リアム・ファーガソン、ニコラス・ホギオスなどのTGRA首脳陣に加え、開発担当WAUのCEOを務めるブルース・スチュワートへのインタビューが収録されている。

「我々、トヨタのオーストラリア法人にとって、今は特別な時期だ。何十年にもわたる準備の末に、このプロジェクトが実現したのだからね」と予告編の中で語っているトヨタ・オーストラリアのセールスマーケティング・フランチャイズ事業担当副社長のショーン・ハンリー。

　同プロジェクトのアナウンス後は、昨季10月の聖典『バサースト1000』では1／1スケールのクレイモデルが展示され、先月末には北米ノースカロライナ州コンコードで稼働する世界最大級の有名な風洞設備、ウインドシアにてシボレー・カマロZL1や第7世代フォード・マスタングらとともに空力テストを行うことをアナウンス。同時にGRスープラに搭載される5リッター自然吸気の2UR-GSEの火入れのサウンドを記録した動画を公開していた。

　その『A90型GRスープラ・スーパーカー』開発でデザインリーダーを務めるホギオスも、予告編のなかで次のように付け加える。

「スープラのラインはすでに非常にアグレッシブで美しく、まさにトヨタらしさを体現しているが、レースカーとして見ると、それはまた別次元の体験になるだろう。静止しているときでさえ、まるで動いているように見えるのは、本当に素晴らしいね」

　そして、わずか40日後に開催される2025年のバサースト1000を前に、すでにシドニー湾を望む会場でラウンチイベントが始まっており、今季のレースに出場する54名のドライバーのうち、ディフェンディングチャンピオンのブロディ・コステッキとトッド・ヘイゼルウッドのペアを含む13名が同地に集結。象徴的なグレートレースにて“キング・オブ・ザ・マウンテン”の称号を賭けて勝負に挑む。

　オーストラリアが誇るモータースポーツの魂として、現在も128カ国3億2500万世帯以上が注目する祭典は、今大会も7000以上のキャンプサイトが記録的な速さで完売するなど、地元ニューサウスウェールズ州にも5500万豪州ドル（約53億円）もの経済効果をもたらす。

　開幕からの8戦で史上初のスプリント・カップ王者が確定した今季のRSCだが、ここから9月12～14日の週末にザ・ベンドで開催される『AirTouch 500（エアタッチ500）』より、お馴染み耐久カップ登録コドライバーとの共闘によるエンデューロ・カップが幕を開ける。

　そして終盤戦には、RSCとして初開催となるポスイトシーズン、プレーオフ形式のファイナルズ・シリーズが待ち受け、今季のバサースト1000はその進出者10名を確定する重要な決戦にも位置付けられる。

　そのため、クレイグ・ラウンズやジェイミー・ウインカップ、ガース・タンダーにマーク・ウィンターボトムといった王座獲得経験者たちが、コドライバーとして重要な役割を担うことになるため、この“ザ・マウンテン”の強豪に対し決勝進出の可能性に迫るドライバーは、重要なポイントを獲得しチャンピオンシップ獲得の望みを繋ぐべく全力を尽くすことになる。

　昨晩シドニーで正式にスタートしたそのレセプションは、36名の交響楽団によるガラ・イベントを経て、現地にも展示されるトヨタGRスープラ・スーパーカー初公開の瞬間を控える。

　昨年バサーストで公開されたフルスケールのクレイモデル、レンダリング画像、そしてティーザー映像以外、このクルマについてはまだほとんど情報がないなか、ドキュメンタリーの公開時期に関する詳細は後日発表される。