FIA F2第5戦のオーストリアは、松下信治にとってチャンピオンシップの流れを引き戻す重要なターニングポイントになるはずだった。
「マシンの仕上がりはアベレージ(良くもなく悪くもなく)だと思います」
一発のタイムではプレマ勢が圧倒的な速さを誇り、レースペースではダムス勢もそれに匹敵してくる。そんな中でART勢はレッドブルリンクでもやや苦戦を強いられることになった。
松下の最初の躓きは予選だった。
「セクター1、2は素晴らしい走りができたんで『いけぇ~!』と攻めたらセクター3でプッシュしすぎてしてまって、コーナー3つともこんな状態(カウンターを当てた手振り)になってしまって。セクター3だけでコンマ5秒遅かったですからね。スマートではなかった」
予選6位で上位に規定違反のマシンがあったため、土曜のレース1は5番グリッドからのスタート。いつものように好発進を決めて4位に上がったが、F1でもそうだったようにレッドブルリンクはオーバーテイクが難しく、チームメイトのアレクサンダー・アルボンを抜きあぐねているうちに首位のプレマ勢とは差が開いてしまった。
「3周目くらいまではペースがすごく良くてアレックス(・アルボン)の前に行けそうだったんですけど、あそこで行けなかったというのが今日の僕の反省点です。タイヤを労らなければいけないというのもありましたが、終わってみればあそこがチャンスだったと思うし、チャンスだと思ったときは常に躊躇せずに攻めていかなければいけないと痛感しました」