世界中で人気を博すTCRカテゴリーに向け、i30ベースのマシンを開発しているヒュンダイが、7月8~9日に行われたミサノ24時間に参戦。エンジントラブルで完走はならなかったが、多くの開発データを収集した。
“新たなツーリングカーピラミッドの構築”を目指し、安価なコストを含めて世界中で高い人気を誇っているTCR。すでにフォルクスワーゲン・ゴルフやアウディRS3、ホンダ・シビックなど、多くのマシンがしのぎを削っている。
これまでラリー競技を主戦場としてきたヒュンダイは、このTCRに参入してサーキットレースにデビュー。その先陣を切るのが開発中のヒュンダイi30 N TCRだ。
ヒュンダイはミサノ24時間から招待を受ける形で、チームBRCとタッグを組んで参戦。ドライバーにはテストドライバーのガブリエル・タルキーニとフィンランド人のアンティ・ブリを起用して臨んだ。
今回のミサノ24時間では、マシン開発に主軸が置かれ、チームはコンディションの違いによるブレーキやタイヤ摩耗の変化や耐久性、複数のセットアップをテストしたほか、耐久レースに必要な給油装置、ライトポッドなど追加の照明装置などの検証も行った。
大会期間中、i30 N TCRは369周を走破し1500km近いマイレージを稼ぎ、エンジンもチームの想定より高い耐久力を示していたが、現地土曜日午前中にマイナートラブルが発生。今後のテストを見据えて、チームは走行を切り上げることとなり、チェッカーを受けることは叶わなかった。
「複数のコンディションでi30 N TCRをテストする場として、ミサノ24時間は理想的な場所だった。招待してくれた主催者たちに感謝している」と語るのは、ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門を率いるアンドレア・アダモ。
「事前に計画していたとおり、いくつかのセットアップを試すことができたし、タイヤの摩耗やブレーキの耐久性についてもテストすることができた。耐久レース参戦に必要な給油装置やライトポッドについても検証できたよ」
「マシンのテスト開始以来、エンジンを載せ換えていなかった。我々の想定よりはるかに長いライフスパンをみせてくれたんだ」
「トラブルが発生した時点で当初の目的はすべて達成していたから、週末に行うテストのことも考えて、走行を切り上げることにした」
アダモのコメントにあるように、チームは近日中にテストを行うほか、8月4~6日に行われるTCRドイツのニュルブルクリンク戦にも参戦。2017年12月に予定しているデリバリー開始へ向け、マシンの熟成を進めていく。