2017年5月、第101回インディ500を制した佐藤琢磨。日本人ドライバーとして初の快挙、自身にとってもオーバルコース初勝利での大金星となった。この偉業の裏側に何があったのか、あらためて振り返ってみよう。
じつはホンダが2017年のインディカーシリーズに用意したエンジンは、開幕当初から不安の種を抱えていた。インディ500に向けて対策を行なったところ、当初のトラブルは改善したものの、別の部分にトラブルが起きるようになってしまった。
実際、200周の決勝レースで137周目に、一時はトップを走ったライアン・ハンター-レイがストップ。167周目にはチャーリー・キンボールが脱落し、180周目には世界中の注目を集めていたF1からの挑戦者フェルナンド・アロンソが姿を消す。
琢磨自身も走りながら、同じホンダエンジンを積むドライバーやチームメイトがトラブルに見舞われたことには気づいていたという。しかし、自分のエンジンは大丈夫だと信じて走るしかない。
結果、琢磨はトラブルに見舞われることなく、終盤エリオ・カストロネベスとの一騎打ちを制して、トップでチェッカーを受けた。
しかし、歓喜の瞬間には誰も知ることがなかった、不吉な予兆が琢磨にも忍び寄っていた。
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