TCR規定を採用して2シーズン目となるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の開幕戦が5月3~5日にクヌットストープで開催され、今季はフル参戦となるWorldRX世界ラリークロス王者のヨハン・クリストファーソンが大苦戦。オープニングはPWRレーシング・セアト・ディーラーチームのダニエル・ハグロフが、予選直前のBoP発動にもかかわらずワン・ツー・スリーの完勝を飾った。
このSTCCと同じ週末に開幕戦を迎えたTCRヨーロッパ・シリーズのポールリカール戦と同様に、TCRレギュレーションを運用するWSC Ltd.とFIAは最新のテクニカルレポートを発表。FK8型ホンダ・シビック・タイプR、ヒュンダイi30 N TCRを除く全車両に対し車高の10mmダウンと、セアト・クプラTCRに対しては10kgの車両重量削減などを発表した。
これでSTCCグリッド上での最多車種であるフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRの1325kgやアウディRS3 LMSの1335kgに対し、クプラTCRは1305kgと30kg近く軽量なマシンになるはずだったが、STCCオーガナイザーは週末2回のプラクティスセッションを終えた段階で独自BoPの発行を決め、5台のセアト全車に20kgのバラスト搭載を指示。予選前のわずか30分間で作業が行われた。
この決定に対し、PWRレーシングの代表兼ドライバーであるハグロフは「レースウイークの最中に車両重量を変更されれば、もちろんセットアップにも影響が及ぶ。まったく歓迎できる動きではないが、我々はプロフェッショナルとしてそれに対応する」と、懸念を口にしていた。
しかし、迎えた予選でポールポジションを獲得したのは、そのPWRレーシングの4台体制のうちで今季ルーキーとしてチームに再加入したフィリップ・モーリン(セアト・クプラTCR)となり、自身初のFFレースカーでありながら、TCR規定のコースレコードを記録するという見事なドライビングを披露。
フロントロウ2番手にハグロフが並び、セカンドロウ3番手には昨季の散発的参戦から代わってクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)からフルエントリーを果たす、世界ラリークロス王者のヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がつけることとなった。
昨季までの週末3ヒート制から、土曜レース1、日曜リバースグリッドのレース2へとフォーマットが改められたオープニングレースは、スタートからそのPWR勢が席巻。
チーム代表のハグロフがロケットスタートを決めてトップで1コーナーに飛び込むと、その後に続こうとしたKMSのクリストファーソンをポールシッターのモーリンが牽制。インサイドをキープしてWorldRX王者の鼻先を抑えると、その2台のアウトサイドからSTCC王者、ロバート・ダールグレン(セアト・クプラTCR)がまとめてオーバーテイクするチームプレーを見せ、一気に2番手に浮上。この時点でPWRレーシングが早々にワン・ツー・スリーのフォーメーションを築いた。