ブラジル出身の元F1ドライバーらが数多く参戦するツーリングカー選手権、SCBストッカー・ブラジルの第4戦ロンドリーナが5月4~6日に開催され、今季からフル参戦を開始した”ルーキー”のルーカス・ディ・グラッシが、早くもシリーズ2勝目を飾った。
ブラジル・サンパウロの西部に位置するパラナ州にあって、日本とドイツ系の移民が開いた街と言われるロンドリーナ。その郊外にある”アイルトン・セナ・インターナショナル・サーキット”を舞台に開催されたSCBの第4戦は、大観衆を集めたグランドスタンドを前に予選が行なわれ、レース1に向け2014年王者でF1歴代最多出走記録保持者でもあるルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)がポールポジションを獲得した。
しかしレース1のスタートでホールショットを奪ったのは、フロントロウ2番手に並んでいたマックス・ウィルソン(ユーロファーマRC)だった。そのままバリチェロを抑えてオープニングラップのコントロールラインを通過したウィルソンは、快調なレースペースでリードを拡大。
2番手バリチェロの背後では、3番手のマルコス・ゴメスとフェリペ・フラーガの強豪シムド・レーシング勢がバトルを展開し、前を走るバリチェロも単独走行に。
4周目には開幕戦を制しここまで2勝を挙げている2017年王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC)が、SNS投票上位者に贈られるオーバーテイクボタン”ヒーロープッシュ”を使用してフリオ・カンポス(プラティ・ドナドッツィ・レーシング)をパスし5番手へ。
さらに好調さを披露する王者は、2016年チャンピオンであるフラーガも仕留めて4番手に浮上すると、16周目に早めのピットへ。
そこから遅れて19周目にピットへと向かい、右側2本交換で王者セラの追撃に対応したバリチェロだったが、ここはセラとユーロファーマRCの戦略が当たりアンダーカットに成功。バリチェロは表彰台圏外の4番手にドロップすることとなった。
レース終盤に向けても首位を走るウィルソンとの”チーム1-2″を狙い、2番手ゴメスに執拗なプレッシャーをかけ続けたセラだったが、惜しくも及ばず。ウイルソンが優勝、2位ゴメス、3位セラのポジションでフィニッシュ。勝利を飾ったウィルソンは、初めて息子のレースを観戦にサーキットを訪れたという母マリア・デ・リマに一足早い母の日のプレゼントを贈ることとなった。
続けて同日日曜開催となったレース2に向けた予選でも、ポールポジションを獲得したのはバリチェロ。セナの名を冠したトラックで無類の強さを見せた元跳ね馬ドライバーは、レース1での借りを返すべく「スタートにすべてを賭ける」と意気込んでの出陣となった。
そのレース2オープニングは、後方に並んでいたこちらも元F1ドライバーのリカルド・ゾンタ(シェルVパワー・レーシング)と数台のマシンがトラブルからグリッド上に立ち往生。フォーメーションラップが仕切り直しになるハプニングが起こり、チアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング)と5度のタイトル獲得経験者、カカ・ブエノ(シムド・レーシング)が先行。ディ・グラッシも序盤に3番手まで浮上し、リズムが乱れたバリチェロはまたもポジション挽回のレース展開を強いられることに。