オーストラリアのツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに、2019年から『マスタング』の投入を発表したフォードに対し、ライバル陣営であるGM傘下ホールデンが、シボレーブランドの『カマロ』を投入するかどうかが熱い話題となっている。それに対し、ホールデンの主要人物らはそれぞれの立場で「可能性は排除しない」と、前向きな展望を語った。
アメリカ大陸では長年にわたりライバル関係を築いてきた『フォード・マスタング』と『シボレー・カマロ』。その2台が2019年以降オセアニア地域のモータースポーツ・カテゴリーで相見えることになりそうだ。
ホールデンの市販部門で高性能モデルを手がけるHSV(ホールデン・スペシャル・ビークルス)は、この7月にも右ハンドル仕様にコンバートした『シボレー・カマロ』をオーストラリア市場で販売する予定で、このHSV社はVASCに参戦するウォーキンショーの一族が所有している。
2018年シーズンからアンドレッティ・オートスポートとユナイテッド・オートスポーツと資本提携を結び、チーム名も新たにウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドとしてシリーズを戦うウォーキンショーが、論理的にも潜在的な“カマロ・スーパーカー”ユーザーの筆頭候補に挙げられている。
先日、GMホールデンのマーケティング担当役員に就任したクリスティアン・アキリーナは、今季から新型のGen2規定モデルとして投入した『ホールデン・コモドアZB』へのコミットメントを強調したものの、カマロが将来的にレースシーンに登場することを「妨げない」と語った。
「2ドアや5ドア、そしてV8エンジンに代わってV6ターボや直列4気筒も採用可能なGen2規定に則り、我々は5ドアHBのボディを持つ新型モデル(コモドアZB)を投入したばかりです。我々の目標は各レースで可能な限り多くのコモドアZBを表彰台に送り込むこと。それができるマシンだと確信を持っています」とアキリーナ。
「2ドアモデルの参入を恐れているわけではありません。フォード・マスタングであろうと、それ以外のモデルであろうと、新型コモドアZBがベストだと確信しています。もし(カマロの参戦が)真剣な見通しになれば、このスポーツにとってエキサイティングなことでしょうが、我々はZBの開発に集中するつもりです」
これにより、カマロの登場はHSVの決断に委ねられた形となったが、同社のマネージング・ディレクターを務めるティム・ジャクソンは、そのプロジェクト開始に向け「実現可能性を評価するところから始める」とコメントした。
「ZBのコモドアと直接競合が可能な上、ホールデンのVASCへの関与を引き続き担保することもできる。つまり、ホールデンとしてはコモドアZBとカマロがシリーズで“並存可能だ”と発言したわけだからね。いずれにせよ、実現可能性の観点から物事を見てみる必要はあるし、多くの要素が揃っていなくてはならないが、それは刺激的な見通しだといえるね」