5月15日付で、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでのワークス活動から撤退すると発表したニッサン・モータースポーツは、そのエース格となるリック・ケリーが5月18~20日の第6戦ウィントンのレース1で自身210戦ぶりの勝利。2018年限りで別れを告げるニッサンに、感謝と餞(はなむけ)の勝利を贈った。
2018年シーズン限りでのワークス活動終了というニュースを経て迎えた最初のイベント。ウィントン・モーターレースウェイでの一戦は、金曜プラクティス1からニッサン・アルティマがワン・ツー・タイムをマークするなど、パドック全体が”ニッサンへの連帯”を感じさせる空気に包まれるなか、レース1に向けた予選でフロントロウを独占したのは、今シーズン“無慈悲なまでの速さ”を見せつけるシェルVパワー・レーシング、DJRチーム・ペンスキーのスコット・マクローリンと、ファビアン・クルサードのフォード・ファルコンFG-X艦隊だった。
セカンドロウ3番手のチームメイト、マイケル・カルーソ(ニッサン・アルティマ)に並び4番グリッドにつけたケリーのアルティマは、そのカルーソとともにスタートでクルサードのファルコンに襲いかかると、ターン1、2をスリーワイドで通過したバトルはカルーソに軍配が上がり、以下ケリー、クルサード、ティム・スレード(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)、そしてウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドのスコット・パイ(ホールデン・コモドアZB)のオーダーに。
予選最速タイムを記録したタイヤセットでスタートを切った先頭集団は、早期のデグラデーションによるタイムロスを嫌い、ファーストスティントを極端に短くする戦略を採り、2番手カルーソが6周目に先陣を切ってピットへ。
これに反応した首位マクローリンは翌周にピットへと向かうと、快適なマージンを持ってトラックへと復帰。カルーソのアンダーカットは不発に終わると、マクローリンを追って同周にピット作業を終えたケリーがカルーソのわずかに前で復帰しポジションアップに成功する。
その後、落ち着いた展開へと推移していたレースをふたたび動かしたのは、どうした因果かニッサン陣営のシモーナ・デ・シルベストロで、27周目に突入したところでBJRのティム・ブランシャード(ホールデン・コモドアZB)と絡み、ターン4でブランシャードを弾き飛ばしグラベルへ。このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入されることとなった。
そしてこのSC明けリスタートの攻防が、レースのリザルトを決定づける大きな要因となり、マージンを失ったマクローリンはターン1のブレーキングで深く行き過ぎると、ターン2の立ち上がりでマシンはわずかにスライド。その隙を見逃さなかったケリーのアルティマが首位奪取に成功する。