イタリア・ミサノで2018年シーズンの開幕を迎えたFIA ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、これまで4度のタイトルを経験し昨季より自らの名を冠したチーム『ヨッヘン・ハーン・レーシング』を立ち上げた元王者ハーンが、2年目のIVECO(イベコ)でオープニングを含む2勝をマーク。5度目の王座へ向け幸先の良いスタートを切った。
このオフシーズンには、シリーズの紅一点であり表彰台の常連として複数の優勝も記録してきたシュティフィ・ハルムが移籍し、ドイツ国籍のラインアート・レーシングのMAN(マン)から、チーム・シュワーベントラックスの最新型イベコへスイッチ。
この移籍にともない、チーム代表を務めていたレネ・ラインアートがドライバーとして戦線復帰を決めるなど、新たな動きとともに5月25~27日の開幕を迎えた。
その予選から速さを見せたのは、2017年シーズンから長年ドライブしたマンを降り、自チーム立ち上げと同時にイベコへと乗り換えた“4タイムス・チャンピオン”のヨッヘン・ハーンで、スーパーポール・セッションでただひとり2分2秒台をマークしポールポジションを獲得してみせた。
対照的に、2017年シーズンを圧倒的強さで制して新王者となったアダム・ラッコ(バギラ・インターナショナル・レーシング・システム)のフレートライナーは6番グリッド止まりと、昨年開幕3連勝を決めたスピードは影を潜める形となった。
迎えた土曜レース1は、スタートから2周目に後続のマシンがトラブルから出火するアクシデントでいきなりの赤旗中断に。ミサノのマーシャルによる素早い消化活動と、早期のドライバー脱出により事なきを得たが、コースの安全性を考慮してリスタートは元のグリッドポジションからとなったものの、ポールシッターの2011、12、13、そして16年王者は動じる事なくホールショットを決め、レースをリードしていく。
そのハーンに追いすがり、背後からプレッシャーをかけ続けたのはトラックスポーツ・ルッツ・ベルナウのアントニオ・アルバセテ(マン)で、厳しい暑さのなかでのレースとなった12周の戦いで全周にわたってコンマ差の圧力をかけ続けたものの、最終的にクールエアでの走行を堅守し続けたハーンが8秒にまでギャップを広げてトップチェッカー。