WTCR世界ツーリングカー・カップの第5戦ポルトガル・ラウンドのレース1で、フロントロウからスタートしてほぼグリッド上の全車に影響を及ぼすマルチプルクラッシュの引き金となってしまったセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)のロブ・ハフ、メディ・ベナーニのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRは、チームにより「完全に破壊されている」ことを確認。SLRは次戦スロバキア戦に向けブランニューのモノコック2台分を用意すると明かした。
市街地コースとしてWTCC世界ツーリングカー選手権時代からシリーズに組み込まれてきたヴィラレアル戦で、今季初のフロントロウを独占したSLRの2台は、そのままレース1スタートでもつばぜり合いを演じ、並んで1コーナーをクリア。
しかし、ゆるい右コーナーとなるターン2に差し掛かったところで、イン側にいるハフがわずかにアウトに孕むと、その右リヤホイールにベナーニのフロントが接触。これでコントロールを失ったハフのゴルフGTIは巻き込まれるようにアウトのベナーニをガードレールに押しやり大クラッシュ。
セカンドロウスタートから隙を伺っていたノルベルト・ミケリス(BRCレーシング/ヒュンダイi30 N TCR)もその2台を避けられずヒットすると、後続が次々と巻き込まれる多重クラッシュへと発展。27台がストップし、うち7台がリタイアを喫する惨事となった。
このクラッシュでハフとベナーニの両ドライバーはすぐさまメディカルチームにより搬送されたが、大きな怪我もなく病院を後に。しかしマシンの方はとくにハフの12号車の方が損傷が激しく、エンジンベイを含むフロントセクションをほぼ失うダメージを受けていた。
「我々が素晴らしい成績を手にしていたであろう週末を、こんな形で逃してしまったことは本当に残念だ。しかし今ではもうチーム全体が次のスロバキア戦に向けた作業に全力で取り組んでいる」と語るのは、SLRのチーム代表を務めるドミニク・ハインツ。