ペンシルベニア州ポコノ・レースウェイでのインディカー・シリーズ第14戦は、今シーズン2回目のスーパースピードウェイでのレース、ABCサプライ500だ。AJフォイト・レーシングにとっては、チームのメインスポンサーとなって12年目のABCサプライがレースのタイトルスポンサーも務めている。
■事前テストが好グリッドを生む
そんな重要なレースで佐藤琢磨は予選で3位に食い込む大活躍を見せた。たった1回のプラクティスではトップ10にも入れていなかったが、事前テストで得られたデータも活かし、予選用のマシンセッティングはハイレベルなものに仕上げることに成功したのだ。
琢磨は少しの運にも恵まれていた。オーバルでの予選アタック順はくじ引きで決めるのだが、チームメイトのジャック・ホークスワースより後で走れる順番を引き当てていた。その上、互いのアタック順が少し離れていたため、ホークスワースの走行レポートを聞いてからセッティングの最後の部分を検討し、マシンに調整を加える余裕も与えられていた。
琢磨のアタック順が回ってくると、コース上空が雲に覆われた。路面自体と、路面に近い空気の層は少しだが温度が下がり、空力コンディション良化でコーナリングスピードがアップした。
2013年にポコノがインディカーのカレンダーに復活した時、琢磨は予選で4位に入っている。今回の3位はポコノでの予選ベストリザルトとなった。予選3位は今シーズンのベストでもある。
「少し安全目にいったセッティングでジャックの走りが安定していたので、自分たちは予定していたダウンフォース量でアタックした。マシンはとても安定していて、走っていて気持ちが良かった。ダウンフォースはもっと削れたほどだった」と琢磨は笑顔で話していた。
■レース用セッティングを変更へ
ところが、予選後の夕方に行なわれたプラクティスファイナルで、琢磨陣営は再び厳しい状況へと引き戻された。レース用セッティングでのマシンがスピードも安定感も欠いていたのだ。