8月24~26日にイタリア・ミサノで開催されるDTMドイツ・ツーリングカー選手権第7戦にスポット参戦するアレックス・ザナルディは8月7~8日、同じくイタリアのバレルンガ・サーキットで行なわれたテストに参加し、ハンドドドライブシステムが組み込まれたBMW M4 DTMで294周をこなした。
2001年のレース中に起きた重大アクシデントによって両脚を失った後もレースに対する情熱を絶やさず、WTCC世界ツーリングカー選手権やブランパンGTシリーズなどに出場。さらにパラリンピックのハンドサイクル競技で金メダリストとなった元チャンプカー王者が、母国イタリアで開催されるDTMにBMWからゲスト参戦する。
ザナルディやイタリアのファンにとって特別なイベントになるDTMミサノラウンドに向けて、BMWと“レジェンド”は事前のテストをバレルンガで実施し、専用の装備をコクピットに組み込んだM4 DTMの機能を確認するとともにドライビングの調整が行なわれた。
テスト後、ザナルディは「素晴らしいテストになった! すべてにおいて正しい方向に向かっているよ」とコメント。
「新しいものがたくさんあるが、1周1周ラップを重ねるごとに自分のものにしている。ミサノに向けていい準備ができておりBMWにはとても感謝しているんだ」
2日間で合計294周、約1200kmを走り込んだゼッケン12番のM4 DTMには、これまでザナルディが走らせてきたマシンとは異なるハンドドライブシステムが備わっている。
BMWによれば過去のシステムはザナルディが義足を使ってブレーキペダルを操作していたが、今回これを廃し右手でレバーを操作することでブレーキをかけるものに変更されているという。
これによって旧仕様で問題となっていたザナルディの疲労を和らげることに一定の効果がみられていることから、今後予定されている北米ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの2019年開幕戦、デイトナ24時間参戦時のマシンにも同様のシステムが採用されることが予想される。
ザナルディは「以前のシステムからの進歩はとても大きい」と語る。
「BMW M4 DTMのように、とても速いクルマをドライブするのは物理的に非常に厳しいものなんだ。そのなかで僕が今までやってきた義足でブレーキをかけ続けるドライビングスタイルはより難しいものになっただろう」