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海外レース他 ニュース

投稿日: 2018.08.23 15:51
更新日: 2018.08.23 17:06

ウィケンスのクラッシュを軽減させた最先端のインディカー安全対策

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海外レース他 | ウィケンスのクラッシュを軽減させた最先端のインディカー安全対策

 ポコノ・レースウェイで開催されたインディカー・シリーズ第14戦ABCサプライ500では大きなアクシデントがあった。

 7周目のターン2でライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)のインにロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が並びかけタイヤ同士が接触し、両車がクラッシュ。

 宙に舞ってキャッチフェンスに激突したウィケンスのマシンはモノコックを残して、あとはすべて飛び散った。衝撃的なアクシデントだった。しかし、ウィケンスは着地も裏返しにはならず、モノコックだけになった状態で誰もハードヒットしなかったのが不幸中の幸いだった。

 インディカーのセーフティクルーが現場に駆けつけた際に意識もあり、アレンタウンのリーハイバレー病院へと搬送された。徹底的な検査の結果、カナダ出身ルーキーは胸部脊髄をはじめとする数カ所の骨折、肺への打撲などの重傷を負い、翌日以降に手術が行われた。

 ウィケンスの負傷がこの程度で済んだのは、インディカーのモノコックの堅牢さと、コクピットを取りまくクラッシャブル・ストラクチャーの進歩が続けられてきているからだ。

■2018年から新エアロキット導入で安全面を強化

 今年から採用されているユニバーサルエアロキットでは左右からの衝撃を吸収するようサイドポッドが前方に伸ばされ、サイドポッド下のアンダートレイもより強固な構造が採用されている。

 インディカーにはインディアナポリスやポコノのようなスーパースピードウェイでのレースがあるため、もう随分と前から安全に対する考え方は非常に進歩的で、ドライバーだけでなく、観客の安全も考慮したアイデアが次々と投入されている。

 アクシデントでもっとも危険なのはドライバーの頭部へのインパクト。救出時にドライバーをコクピットから引き摺り出す際に逆にダメージを与えてしまうことがないよう、インディカーでは、まずドライバーの頭部がどれだけの衝撃を受けたか、ドライバーの頭部がアクシデント時に動いた距離とスピードを感知するセンサーを開発した。

 速いスピードで動いているほど脳への衝撃は大きくなるからだ。そのセンサーはドライバーが装着するイヤーピースにマウントされており、セーフティクルーの中のドクターが現場でそのデータにアクセスし、ベストの救出法を選ぶ。

 ウィケンスの救出に時間がかかったのも、頭部及び頸部へのダメージが考えられたため、ネックブレースを装着し、脳をできる限り動かさないよう慎重に引っ張り出す作業が行われたからだ。

 今やほとんどのカテゴリーで使用されているHANSデバイスもアメリカで開発されたもので、インディカーはいち早く採用した。


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