南米ブラジル出身の元F1ドライバーたちが多数参戦するハイレベルなツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルの第7戦カンポ・グランデが8月18~19日に開催され、レース1は強豪シムド・レーシングのフェリペ・フラーガが勝利。続くレース2では、シェルVパワー・レーシングのリカルド・ゾンタが待望の今季初優勝を飾った。
ブラジル中西部マットグロッソの州都近郊に位置し、その創設119周年を記念して開催されたSCB第7戦カンポ・グランデは、2ヒートともにピット戦略が勝敗を分けるレース展開となった。
そのレース1に向けポールポジションを獲得したのは、今季もWEC世界耐久選手権でLM-GTEプロクラスに参戦する王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC)で、レース序盤は今季も選手権をリードするチャンピオンが盤石のマネジメントで支配していく。
しかし反撃に転じたシムド・シボレー・レーシングのフラーガは、5度の王者獲得経験を持つチームメイト、カカ・ブエノとともにセラの背後に迫ると、コンビネーションプレーでチャンピオンを攻略しフラーガが首位浮上に成功。28周のレース1で唯一のピットストップに向け、ギャップを広げるべく猛チャージを見せる。
セラに続いてピットへと飛び込んだフラーガは、ここでまさかのアクシデントに直面。右フロントタイヤの交換作業に手間取ったマシンは長らくボックスに滞在することとなり、その間にアウトラップを攻めていたセラがみるみるギャップを縮めてくる。
なんとか作業を終えてマシンをコースに送り出したシムド・シボレー・レーシングだが、フラーガの88号車がトラックに復帰したときには、王者セラの29号車がサイド・バイ・サイドに迫り、一旦は首位の座を明け渡すことに。
ここで諦めなかったフラーガは後半セクターで大胆なオーバーテイクを敢行し、タイヤの発動で不利な立場にもかかわらず見事にアウトラップでのポジションキープに成功。そのまま首位の座を脅かされることなく、トップチェッカーをくぐってみせた。
「ここで今季2勝目が飾れて本当に良かった。マシンはスタートからフィニッシュまで本当に完璧だったし、序盤でセラの前にも出られた。ピット作業のミスはヒヤヒヤしたし、冷えたタイヤでラインの外を走るのは怖かったし難しかったけれど、リスクを取って失った時間を取り戻せてホッとしたよ」と勝者フラーガ。
2位セラに続き、3位にはカカ・ブエノを抑えたマックス・ウィルソンが入り、ユーロファーマRCがダブルポディウムを確保。前戦“ミリオン・レース”の勝者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)は9位となり、トップ10リバースのレース2に向けフロントロウを獲得した。
その他、元WTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーで、このイベントにスポット参戦したネストール・ジロラミ(バーダル・ホットカー)は18位、ネルソン・ピケJr.(フルタイム・バッサーニ)、アントニオ・ピッツォニア(プラティ-ドナドッツィ)、ルーカス・ディ・グラッシ(HEROモータースポーツ)らはリタイアに終わっている。