ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップを主催するETRA(ヨーロピアン・トラック・レーシング・アソシエーション)とFIAは、トレーラーヘッドを用いた従来のシリーズとは異なり、新たに費用対効果を重視するコンセプトを採用した“LT4カップ”の創設を発表した。
2016年に現在のFIA欧州選手権格式のシリーズに移行して以来、チャンピオンシップの成功と成長を続けているETRC。そのノウハウを活用し、ETRAとFIAは新たにLT4(Light Trucks for Drivers)の名称を掲げた新シリーズを、2020年に本格始動するとアナウンスした。
このコンセプトの主軸はカスタマーチームや次世代の有力トラックドライバー候補が、容易に参戦可能な“アフォーダブル(手頃、安価)”なエントリー環境を構築することにあるという。
最高峰FIA ETRCへの登竜門的な機能も期待されているこの新シリーズは、2020年に最初のフルシーズン開催を予定。その前年度となる2019年は、車両の開発とホモロゲーション作業、そしてシリーズや新型マシンのラウンチやプロモーションの期間に充てられる。
そのLT4に参戦する新規車両は、外観もレース仕様に専用設計された空力部品を採用。これらもその多くを共通指定部品としてホモロゲーション指定し、その外観も、サウンドも、上位クラスのETRCとそん色のないものを目指しているという。
これらのトラックはコスト効率を優先した設計と車体公認がなされ、各マニュファクチャラーや指定チューナーのみが供給を行う。またETRCのトレーラーヘッドに比較してコンパクトな車体サイズとすることで、より効率的なシリーズ参戦コスト実現を狙っている。
バランスの取れたグリッドの性能差を確保するため、ブランドごとのトラックは車型が指定され、各マシンはBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によって性能調整が実施される。
その性能基準となる車両規定は、最大積載3.5トンで年間400台以上の販売実績を有すること。さらホイールベースは3400~3700mmの範囲でラダーフレームのキャビンシャシーを持ち、後輪駆動であること。6気筒までのディーゼルで3000cc以下の排気量であることなどが掲げられている。
現段階でのスポーティングレギュレーションの初期コンセプトは、1台のトラックにつき2名のドライバーがエントリー。これも参戦コスト低減に有効な施策のひとつに数えられる。
そのため、レース中にはドライバー交代とタイヤ交換のためのピットストップが義務付けられ、これによりチームメンバー、メカニックのスキルもレース結果に大きな影響を与えることになる。この要素により次世代を担うルーキードライバーは、より良いリザルトを得るためにチームビルディングのスキルを養うことも求められる。