チリの首都サンティアゴで開催された2018/2019ABBフォーミュラE選手権第3戦。4番手スタートのサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が、波乱のレースを制し、シーズン4のローマE-Prix以来の勝利を収めた。ポールポジションからスタートしたセバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)は痛恨のリタイアとなった。
戦いの舞台を中南米に移したフォーミュラE。昨年に引き続き開催されたチリ、サンティアゴでの一戦は、路面温度は46℃を、最高気温は37℃を超える酷暑の下で行われることに。
出力を25kWアップさせるアタックモードはレース中に2度の使用が可能で、4分間にわたり稼働する。アクティべーションゾーンは第3ターンのアウト側に設けられた。
予選でトップタイムを記録したのはルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)。だが、グループ予選走行後のインラップにおいてレギュレーション違反が発覚。ペナルティの裁定が下り予選タイムが抹消され最後尾スタートに。
その結果、2番手タイムを出していたブエミが繰り上がりでポールポジションを獲得。ニッサンにとってこれが初ポールとなった。
予選2番手にはパスカル・ウェーレイン(マヒンドラ・レーシング)が付け、フロントロウに元F1ドライバーが並ぶ。3番手にダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、4番手にバードがつけた。
現地時間の16時過ぎに決勝レースがスタート。ブエミが見事にホールショットを決め、後続を引き離しにかかる。バードは、アプトを抜いて3番手に浮上する。
快調に走るブエミは5周目に全車の先陣を切ってアクティベーションゾーンを通過。レコードラインへ復帰する際、2番手のウェーレインに並びかけられるも順位を死守し、アタックモードで後続を引き離しにかかる。
好調なペースで走る3番手のバードはアタックモードを使用して前を走るウェーレインとの距離を詰め、10周目の1コーナー手前、バードはレイトブレーキでウェーレインのインに飛び込み、オーバーテイク。2番手に浮上する。
その後方では熾烈な5番手争いが繰り広げられる。14周目、5番手のエドアルド・モルタラ(べンチュリ・フォーミュラEチーム)と8番手スタートから順位を上げてきたアレクサンダー・シムズ(BMW i・アンドレッティ・モータースポーツ)が接触し、モルタラがスピン。モルタラはシムズとストフェル・バンドーン(HWAレースラボ)に抜かれ7番手まで順位を下げた。
翌周、マキシミリアン・ギュンター(ジェオックス・ドラゴン)がホームストレート上にストップ。フルコースイエロー(FCY)が導入される。ギュンターはコースマーシャルによってピットに戻され、そのままリタイアとなった。
17周目、FCYが解除されるとブエミの背後につけていたバードがマシンを左右に振って威嚇。だがブエミは臆することなくポジションをキープ。
しかし、6番手を走るバンドーンが第3ターン出口のウォールに右フロントから接触。フロントカウルをコース上に撒き散らしてしまい、1周待たずしてふたたびフルコースイエローが導入。トップ争いは再びギャップがなくなり、今度はブエミ、バード、ウェーレインの3つ巴の戦いに。