シリーズの歴史上初となる2ドアクーペ、フォード・マスタングの参戦で新たな時代を迎えるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの2019年シーズン開幕戦スーパーループ・アデレード500が2月28~3月3日にメルボルン市街地コースで開催され、王者スコット・マクローリンのDJRチーム・ペンスキーが盤石の2連勝を飾り、フォード・マスタングがデビュー戦でダブルウインを達成。タイトル防衛に向けて好発進を切った。
フォード陣営のファルコンFG-X全車がスイッチする形で総勢6台のマスタングが集った開幕戦では、その注目のニューマシンがファンや周囲の期待に違わぬスピードを披露した。
初日最初のプラクティスこそマイナートラブルで落としたチャンピオンとマスタングのコンビは、続くプラクティス2で早々にトップタイムを記録し、続くP3ではチームメイトのファビアン・クルサード(フォード・マスタング)に続いてDJRチーム・ペンスキーがワン・ツー体制に。
そのまま予選セッションでもマクローリンが最速を記録しトップ10シュートアウトに進出すると、今度は意地を見せたクルサードが1分19秒892をマークし、チームメイトバトルを満喫しての初ポールポジションを獲得してみせた。
マスタング初ポールを僚友に譲ったマクローリンは3番手からのスタートとなり、その間には2018年チャンピオンチームのレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)、トリプルエイト・レースエンジニアリングの“セブンタイムス・チャンピオン”、ジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB)が割って入る。
同じくRBRAの2016年王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB)は4番手につけ、開幕前公式テストの不調から鮮やかなカムバックを果たした。
シリーズをけん引する役者たちがグリッド前方を占め、いよいよスタートの時を迎えた2019年シーズン最初のレースは、ポールシッターのクルサードがクラッチミートのタイミングを誤りまさかのフライング。
動き出しが早すぎたことに気づいたクルサードがブレーキをかけた隙を突いて並びかけた3番グリッドのマクローリン、そして2番グリッド発進のウインカップがスリーワイドで1コーナーに突入すると、イン側を抑えたマクローリンがシケイン通過後には首位浮上に成功。一方のウインカップは縁石をカットして行き場を失い、SVGの背後4番手にドロップしてオープニングラップをクリアしていく。
DJRチーム・ペンスキーのワン・ツー体制も周囲の予想どおり早々に崩れることになり、2番手走行のクルサードにはジャンプスタートのペナルティが課され、チームは序盤10周目にピットへ呼び戻すと早めのルーティンとともにペナルティを消化。クリーンエアでポジション挽回を狙う戦略を採った。
RBRA同士のバトルも、3番手SVGより4番手セブンタイムス・チャンピオンのレースペースが優れ、5周目のターン14ではウインカップがチームメイトを強引にオーバーテイクし、前方のシェルVパワー・マスタングを追ってスパートを開始する。