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海外レース他 ニュース

投稿日: 2019.05.12 14:25

インディカー第5戦:パジェノーが復活の大逆転劇。優勝の期待から一転、琢磨は厳しいレースに

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海外レース他 | インディカー第5戦:パジェノーが復活の大逆転劇。優勝の期待から一転、琢磨は厳しいレースに

 インディカー・シリーズ第5戦インディカーGPがインディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースで開催。11日に行われた決勝レースは、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が終盤に大逆転を見せ、今季初勝利を挙げた。

 昨年からユニバーサルエアロのワンメイクシャシーへ戻ったことで熾烈な競争が繰り広げられているNTTインディカーシリーズ。

 強豪チームの牙城を崩すのは容易ではないが、新興チームの中には実力を大きく伸ばしているところもあり、新たに参戦するるドライバーたちの中にも高い実力を発揮する者はいる。それが結果に最も大きく現れたのが2019年シーズン第5戦のインディカーGPだった。

 予選ではスウェーデン出身ルーキーのフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)がキャリア初のポールポジションを獲得し、彼のチームメイトのスコット・ディクソンが予選2番手につけ、ライバル勢に対するアドバンテージを有しているかに見えていた。

スタートでトップをキープするフェリックス・ローゼンクヴィスト
スタートでトップをキープするフェリックス・ローゼンクヴィスト

 しかし、インディアナポリスモータースピードウェイの全長2.439マイルのロードコースを使った85周のレースは、雨や低温、風といったコンディションが複雑に絡み合った非常にテクニカルな戦いになり、最後の勝負での決め手は、ウエットコンディションでのスピードと、そこから急激に乾いて行く路面でいかにハイペースを保ち続けられるになった。

 そして、このように様々な要素が絡み合ったレースは、最後の勝負が強豪2チームの元チャンピオンふたりによって競われることになったが、3位にはフルシーズン参戦もできていないマイヤー・ーシャンク・レーシング・ウィズ・ASPMのジャック・ハーベイが入ってキャリア初の表彰台に上り、4位はAJ・フォイト・エンタープライゼスで走る、まだインディカー2年目のマテウス・レイストのものとなった。

自己ベストリザルトを獲得したジャック・ハーベイ
自己ベストリザルトを獲得したジャック・ハーベイ

 曇り空で気温も路面も非常に低いコンディションで始まったレースは、心配された通りに終盤が雨になった。スピンしてストップしたマシンがあったために出されたイエローコーションで、躊躇なくウエットタイヤを選んだのがディクソンだった。

 ここでポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)はスリックをチョイス。イエロー中にもう一度ピットに入ってウエットタイヤに交換する必要が生まれ、そのピットストップでクルーがミスを犯したために優勝のチャンスを失った。彼は15位でのフィニッシュしかできなかった。

トップを走行するスコット・ディクソン
トップを走行するスコット・ディクソン

 ウエットタイヤを選んだ判断力の良さでトップへと復活したディクソンは、ゴールまで20周で切られたリスタートで2番手以下を大きく突き放し、そのままゴールまで逃げ切るものとみられた。

 ところが、ニューガーデン同様にタイヤチョイスを失敗し、6番手でのリスタートを迎えていたパジェノーが、エド・ジョーンズとスペンサー・ピゴット(二人ともエド・カーペンター・レーシング)をパスして4番手へ浮上し、さらにはレイスト、ハーベイも仕留めて2番手へ。

 その勢いは止まらず、ゴールまで5周を切ってからディクソンへと急接近。フロントタイヤを傷めたディクソンが苦しい走りとなる中、残り2周で彼をアウトからパスし、トップを奪い、リードを広げて歓喜のゴールへと飛び込んだ。

シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)
シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)

 2017最終戦ソノマ以来となるキャリア12勝目を挙げ、パジェノーはランキングも11番手から4番手まで大きくジャンプアップした。

 パジェノーのインディカーGPでの勝利は3回目となり、チームメイトのウィル・パワーと並んだ。今回6回目を迎えたレースだが、それらはすべてチーム・ペンスキーがウイナー。パジェノーとパワーが勝利を三つずつで分け合っている。

「最後の5ラップは凄まじかった。自分のキャリアの中で最もうれしい勝利となった」とパジェノーは喜んだ。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選11番手から14位でゴールした。

 第3戦アラバマでポール・トゥ・ウインを飾った琢磨陣営は、チームのロードコース用セッティングが昨年に比べて大きく戦闘力を高めており、それは予選の第1セグメント・グループ1での最速ラップ記録によって証明された。

 しかし、セッティングのベースをレベルアップさせることはできたものの、非常に短い時間で争われる予選の戦い方、難しいコンディションとなったレースでマシンをアジャストし切って戦うことは今回は実現できなかった。その結果、琢磨が得意とするウエットレースとなってもポジションアップは果たせなかった。

「レッドタイヤで走ったレース序盤からマシンが曲がらなかった。レースの中盤に良くなった時もあったが、ウエットになってからは、またマシンが曲がらない状況に陥った。序盤のレッドの時を更に悪くしたような感じでした」

「それは空力セッティングによるものだったのか、タイヤの内圧設定がコンディションに合っていなかったからなのか……それはデータを見て原因を解明したいと思います」と琢磨は話した。

 予選までの走りから、琢磨はレースではトップ争いが行えるものとの期待を持っていた。しかし、インディカーGPでは自分たちの納得の行くパフォーマンスを見せることはできなかった。それでもポイントスタンディングはひとつ落としただけの5位にとどまった。


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