5月18~19日にイギリス最速のトラック、スラクストンを舞台に開催されたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権2019年シーズン第3戦は、ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の1台としてBMWパーテック・レーシングの330i Mスポーツをドライブするアンドリュー・ジョーダンが連勝を飾り、マルチクラッシュの犠牲となった前戦のリベンジを達成。最終レース3ではBTCレーシングのジョシュ・クック(FK8ホンダ・シビック・タイプR)以下、日本車勢がトップ6を独占するリザルトとなった。
第2戦のドニントンパークで連勝を飾ったWSRのチームメイトである王者コリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ)に対し、29歳のジョーダンはオールドヘアピンで発生した多重クラッシュに巻き込まれる形で、今季投入の新型BMW330i Mスポーツは無残にも大破。
2013年王者をして「2019年シーズンが僕のBTCCキャリアの最終年にならないことを願う」との発言まで飛び出すほど、精神面でも深刻なダメージを負っていた。
しかし、シリーズ随一の高速サーキットに舞台を移した第3戦では、一転して好調さを取り戻し、予選ではAmDチームにとってBTCC初のポールポジションをゲットしたサム・トルドフ(FK2ホンダ・シビック・タイプR)、そしてチーム・ダイナミクスのダン・カミッシュ(FK8ホンダ・シビック・タイプR)のホンダ勢に続く3番グリッドを獲得。FRのトラクションを活かしてスタートでの逆転を期してレース1に挑んだ。
その目論見どおり、オープニングラップのコンプレックス・コーナーでカミッシュのFK8シビックを攻略したイエローのBMWは、FK2シビックのテールに迫ると、今季からコブラスポートAmDオートエイド/RCIBインシュアランスに加入したトルドフとの息詰まるタイムバトルを展開。
しかし16周レースも終盤となった13周目にトルドフのシビックを異変が襲い、バッテリートラブルの影響でパワーステアリングを失ったシビックはチャーチ・コーナーでラインを乱すと、ワンチャンスの隙を見逃さなかったジョーダンが続くウッドハム・ヒルで前へ。そのまま逃げ切りを果たし、失意からのカムバックを果たす今季2勝目を飾った。
「誰もが知るように、ドニントンパーク後のマシンはひどい惨状だった。でもBMWとWSRを信じていたし、これが僕たちの結束だ。スラクストンの高速トラック、WSRのクルー、そしてBMW3シリーズを愛しているよ!」と喜びを爆発させたジョーダン。
一方、パワーステアリング不調を騙し騙しの走行でなんとか最新FK8を抑えきったトルドフが新旧シビック対決を制し2位、カミッシュが3位の表彰台に。その後方4位にはディフェンディングチャンピオンのBMWターキントン、5位にAmDのロリー・ブッチャー(FK2ホンダ・シビック・タイプR)が続いている。