TCRジャパン・シリーズと同じ週末となる5月18~19日に、2019年度より創設されたTCRオーストラリアが開幕。その初戦はシドニー・モータースポーツパークで開催され、記念すべき初代勝者はバサースト1000でも優勝経験を持つVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの大ベテラン、ジェイソン・ブライト(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)に。また日曜のレース2、レース3では、ウィル・ブラウン(ヒュンダイi30 N TCR)が連勝を飾った。
かつてはイースタン・クリーク・レースウェイの名で親しまれた、オーストラリア・シドニー郊外に位置する伝統のサーキットであるシドニー・モータースポーツパークにも、いよいよTCR規定ツーリングカーの波が押し寄せ、豪州初上陸となった17台のマシンが全長3.9kmのトラックに集った。
歴史の火蓋が切って落とされた最初のプラクティスでペースを築いたのは、シングルカー体制を採るガース・ウォルデン・レーシングのマイケル・アーモンド(ヒュンダイi30 N TCR)で、1分35秒2320のベンチマークを記録。
アーモンドはこのFP1セッションで初めてステアリングを握ったマシンで、続くプラクティス2でも自己ベストを更新するトップタイムをマーク。「史上初のTCRオーストラリア練習セッションのトップを迎えることは非常にエキサイティングだ」と、このTCRオーストラリアでもヒュンダイ勢の躍進を予感させた。
しかしこちらもシリーズ初開催、戦力バランスを図る上で重要なセッションとなる予選でそのヒュンダイ勢を粉砕したのは、現地オーストラリア法人のホンダからバックアップを受けるウォール・レーシングのVASCドライバー、トニー・ダルベルト(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)で、史上初の“ポールポジション・アワード”の栄誉を獲得。
フロントロウにも同じくVASC経験者のブライトが並び、ヒュンダイ勢はHMOカスタマー・レーシングのブラウンがセカンドロウ4番手、アーモンドが3列目5番手に続く結果となった。
16周で争われた土曜の決勝レース1は、そのツーリングカー経験豊富なベテランドライバーたちが巧者ぶりを発揮。TCRオーストラリア初代勝者の歴史的栄誉を勝ち獲るべく、アライアンス・オートスポートのブライトがポールシッターのダルベルトに仕掛け、1コーナーで早くも首位奪取に成功してみせる。
VASCで573戦に出走し20勝を挙げている46歳のブライトは、2019年シーズンもDJRチーム・ペンスキー、ファビアン・クルサードの耐久カップ登録コドライバーを務める現役VASCドライバーのダルベルトに対して見事にマージンをコントロールしていく。