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海外レース他 ニュース

投稿日: 2019.05.21 15:25
更新日: 2019.07.08 12:22

WTCR第4戦ザントフールト:新興チームLynk&Coが2勝の快進撃。ホンダのグエリエリがランク首位守る

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海外レース他 | WTCR第4戦ザントフールト:新興チームLynk&Coが2勝の快進撃。ホンダのグエリエリがランク首位守る

 2019年のWTCR世界ツーリングカー・カップは5月17~19日、オランダのザントフールトで第4大会が行われ、レース1と3でテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)が、レース2でエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、それぞれ優勝を飾った。 

 二輪の耐久レースと併催された前戦スロバキア大会は変則的なスケジュールとなったWTCRだが、このザントフールトでは土曜に予選1回目とレース1、日曜日にノックアウト予選とレース2、レース3を行うスケジュールに戻って争われた。

 2019年シーズンからシリーズに参戦している中国の吉利汽車(ジーリー)とボルボが共同出資するLynk&Coは、18日(土)の予選1回目から速さを発揮。ビョーク、イバン・ミューラー、アンディ・プリオール、ヤン・エルラシェールの4名でトップ4を独占してみせる。

 5番手につけたミケル・アスコナ(クプラTCR)はトップと0.724秒差もあったことから、シリーズ側はLynk&CoのBoP(性能調整)を変更。当初100%だったエンジン出力を97.5%へ引き下げる措置を行った。

 しかし、レース1ではポールシッターのビョークがBoP調整をものともせず快走してトップチェッカー。すぐ後方ではミューラーとアスコナがテール・トゥ・ノーズの2位争いを繰り広げたものの、ミューラーが鉄壁の守りで2位を守り、Lynk&Coがワン・ツーフィニッシュを奪う結果に。

 翌19日(日)も、Lynk&Coのペースは衰えず、エルラシェール、ビョークが予選フロントロウを確保。3番手にノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR)、4番手にアウグスト・ファーフス(ヒュンダイi30 N TCR)が続いた。Q2の10番手にはグエリエリが入り、レース2のポールを手中に収めている。

レース2を制したエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)
レース2を制したエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)

 レース2をポールからスタートしたグエリエリは、12周の決勝レース中、つねにベンジャミン・ロイヒター(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)やヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)からプレッシャーをかけられたものの、ポジションを守りきり優勝。チャンピオンシップのリードをさらに広げてみせた。

 迎えた15周の最終レース3、スタートではポールシッターのエルラシェールが蹴り出しで出遅れた一方で、ビョークはクリーンな立ち上がりをみせる。

WTCRザントフールトのレース3、スタート直後の1コーナーではテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)がトップに
WTCRザントフールトのレース3、スタート直後の1コーナーではテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)がトップに

 ここでポジションを守ろうとしたエルラシェールは、マシンをビョークのいるイン側へ振り、ポジションを守ろうとすると軽くマシン同士が接触するが、最終的にはビョークに交わされ、エルラシェールは2番手に後退してしまう。

WTCRザントフールトのレース3でトップを譲られたヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)
WTCRザントフールトのレース3でトップを譲られたヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)

 するとスタートから3周目、スタート直後のブロックがペナルティ対象になると予想したチームは、無線でビョークにポジションを譲るよう指示。ワン・ツー体制を守るべく、エルラシェールにドライブスルー・ペナルティ分のギャップを築かせる作戦を採る。

 しかし、その後エルラシェールには警告を意味する黒白旗が掲示され、ドライブスルー・ペナルティは与えられず。そのため、9周目にはふたたびチームオーダーによりポジションの譲り合いが行われ、ビョークがトップに浮上。そのままビョーク、エルラシェールのワン・ツー体制でチェッカーを受けた。

 レース後の会見でエルラシェールは「キャリア史上最高のスタートではなかった」とレース3をふり返っている。

「この週末、ずっとパワー不足に苦しんできたんだ。それが原因で蹴り出しが悪かった。いずれにせよ、チームとしてワン・ツーフィニッシュを飾ることができたから満足している」

「ポールからスタートして2位でチェッカーを受けることになったんだから、最高の終わり方ではない。でも、リタイアするよりは、遥かにマシな結果だよ。ポイントランキングでも上位に駒を進めることができたし、次のノルドシュライフェ(第5大会ニュルブルクリンク)も楽しみにしている」

レース1とレース2を制して、ランキング2位に浮上したテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)
レース1とレース2を制して、ランキング2位に浮上したテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR)

 レース1とレース3を制したビョークも「僕が(エルラシェールと)同じ状況に置かれたら、同じような行動をするだろう」とエルラシェールを擁護するコメントを残した。

「もしエルラシェールが先頭で1コーナーに飛び込んでいたら、僕は身を引いただろう。チームにポイントを持ち帰るためにもね。ただ(1コーナーでは)タイトな戦いになっていた。僕が(エルラシェールと)同じ状況に置かれたら、同じような行動をしていただろうね。だから、あの件について何かを言うつもりはないよ」

「レーシングドライバーになにより必要なものは、勝ちたいという強い意志だからね」

 ドライバーズランキングでは、レース2で1位、レース3で8位に入ったグエリエリが161ポイントでランキング首位。11ポイント差の2位にビョーク、26ポイント差の3位にネストール・ジロラミ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)が続いている。

 チームランキングでは、ALL-INKL.COM ミュニッヒ・モータースポーツ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)が296ポイント、シアンレーシング Lynk&Co(Lynk&Co 03 TCR)が258ポイント、BRCヒュンダイN スクアドラ・コルセ(ヒュンダイi30 N TCR)が236ポイントで3位につけている。

 2019年のWTCR第5大会は6月20~22日、ドイツ・ニュルブルクリンクで行われる。


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