5月17~19日に開催された2019年WTCR世界ツーリングカー・カップの第4戦オランダ・ザントフールトでは、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)を巡ってチームとTCRオーガナイザーであるWSCの間で混乱が発生。一時はグリッドに並ぶマシンの半数以上がレースをボイコットする可能性も浮上するなど、シリーズスタート2年目でBoP運用の難しさが浮き彫りとなった。
チェコ共和国のスロバキアリンクから続けて開催された第4大会ザントフールト戦では、イベント前にBoPが発表され、チャンピオンマシンのヒュンダイi30 N TCRはエンジン出力97.5%、BoPウエイト10kg、コンペンセーションウエイト60kg、最低地上高90mmのBoPを継続。
一方、前戦スロバキア大会のリバースグリッドからワン・ツーを飾っていたFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRは、さらに10kgのウエイト軽減措置を受けコンペンセーションウエイト50kgに。同じくアウディRS3 LMSやセアト・クプラTCRもコンペンセーションウエイト40kgへと引き下げられた。
ECU変更を経たフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRや、アルファロメオ・ジュリエッタ・ベローチェTCRもコンペンセーションウエイト30kgとされた。ここまでは各チームの許容範囲だったようで問題にはならなかったが、、2019年デビューの新型モデル、Lynk&Co 03 TCRまでもがコンペンセーションウエイト30kgとされたことが最初の火種に。
さらにWSCのテクニカルグループは、ザントフールト大会のプラクティスを迎える前に追加調整を行い、Lynk&CoのBoPウエイトを30kgから40kgへと増加、ヒュンダイと同じ1335kgのマシン重量にそろえた上で「スロバキア戦ではストレート速度でハンデを追っていた」との判断からエンジン出力を97.5%から100%へと緩和した。
この結果、Lynk&Coポールスター・シアン・レーシングが最初の予選でトップ4を占拠する事態となった。
これを受け、少なくとも4チームが「週末のレースには参戦を見合わせる」と、ボイコットの可能性を示唆する事態となり、とあるチーム代表からは「予選で5番手以下がコンマ5秒以上も離されるのは異常事態だ。少なくとも、前戦スロバキアではBoP調整を睨んでスローダウンしていたと考えざるを得ない」との疑念も示された。