VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーのシリーズCEOを務めるショーン・シーマーは、オセアニアのみならず世界的人気を博すこのツーリングカー選手権のさらなるコスト削減を模索すべく、チャンピオンシップの“魂”ともいうべきV8のエンジン形態は維持したまま、過給機を導入するプランを検討していることを明かした。
このオーストラリアを代表するVASCでも自動車産業の動向には抗えず、近年はV6や直列4気筒のダウンサイジング直噴ターボを解禁したGen2規定の採用や、将来的なハイブリッド技術の導入も模索する流れとなっていた。
そんななか、スーパーカーのシーマーCEOはデビッド・レイノルズやマイケル・カルーソらVASC参戦ドライバーがMCを務めるポッドキャストに出演し、現行OHVのV8自然吸気エンジンに、ターボやスーパーチャージャーをはじめとした過給機をアドオンするプランを議題にあげ評価している、と語った。
「エンジンこそがチケット販売に直結する重要なキーアイテムなんだ。ファンのためのショーにマイナスの影響を与えない範囲で、コスト削減に繋がる方策にはすべてトライしたいと思っている」と、展望を語ったシーマーCEO。
「もちろんその上でレースの進化も実現しなくてはならない。その点に関してはすでに取り組みが進んでいて、(今季から導入した)リニア・スプリングなどはスーパーカーの技術的到達点を示すその完璧な事例だと言える」
現在シリーズに参戦するフォード、ホールデン、ニッサンのV8エンジンは約7万6000ユーロ(約940万円)と、レーシングエンジンとしては非常に安価な製造原価を維持しているという。
「オーバーヘッドカムを採用するニッサンを除いて、各エンジンビルダーやチームがプッシュロッドエンジンを使用して、これまで積み重ねてきた実績は信じられないほど素晴らしいものだ。彼らのチューニングは限界点を極めており、ここからはとてつもなく高価な競争が待ち受けている。それを回避するためのひとつの方法が、過給機にあるんだ」
■シリーズは最高出力の引き下げも視野に