7月13~14日にオーストリアのレッドブルリンクで開催された2019年TCRヨーロッパ・シリーズの第4戦は、波乱含みで後味の悪い結末となった。土曜レース1で勝利を飾ったジョシュ・ファイルズ(ヒュンダイi30 N TCR)が選手権首位に浮上し、日曜レース2ではルカ・エングストラー(ヒュンダイi30 N TCR)が勝ち、ヒュンダイが連勝。しかし、レース後パドックでの“非紳士的行為”により、ドゥサン・ボルコビッチ(ヒュンダイi30 N TCR)に2019年シーズン出場停止処分が下ったのだ。
イベント開催を前にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整が行われ、アウディRS3 LMSやフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR、セアト・クプラTCRなどのフォルクスワーゲン・グループ系マシンが軒並みBoPウエイトを軽減される措置を受けるなか、レース1に向けポールポジションを獲得したのはやはりヒュンダイ勢。BRCレーシングのルカ・フィリピ(ヒュンダイi30 N TCR)が最前列を確保し、TCRドイツ連覇の経歴を持つターゲット・コンペティションのファイルズがフロントロウを分け合った。
迎えた土曜決勝スタートでは、2番手ファイルズが1コーナーで早々に首位奪取に成功すると、そのまま13周のレースを支配して今季2勝目をマーク。
途中セーフティカー(SC)ランを挟んでファイナルラップ目前まで2番手フィリピに続き、Mレーシングのネルソン・パンチャティッチ(ヒュンダイi30 N TCR)が3番手をキープし、ヒュンダイのワン・ツー・スリー達成が目前に迫るも、公式練習でトップタイムを連発していたダン・ロイド(FK8ホンダ・シビック・タイプR)が12周目に華麗なオーバーテイクを決め最後の表彰台をゲット。4位パンチャティッチ、5位エングストラーのトップ5となった。
明けた日曜正午を前にスタートが切られたレース2は、前日トップ10リバースグリッドのフロントロウをトム・コロネル(FK8ホンダ・シビック・タイプR)とジャンニ・モルビデリ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)の実力派ベテランコンビが分け合うスタートに。
その先頭集団は混乱なく1コーナーへ進入していったものの、6番グリッドのパンチャティッチがエンジンストールで集団後方までドロップ。さらに中団ではTボーンクラッシュも発生し、いきなりのSC導入となってしまう。
4周目に再開されたレースだが、SC先導中にコース上には雨粒が落ち始め、全車スリックタイヤでウエット路面の難しいコントロールを強いられると、6周目にはモルビデリがターン1でワイドになり後方へ脱落。
さらに7周目には再びのクラッシュでSCピリオドになり、10周目のリスタートで首位コロネルと2番手エングストラー、そして3番手フィリピのバトルがさらに激化。ここで勢いを見せたのは前日の予選最速男フィリピで、11周目にエングストラーを仕留めて2番手に浮上すると、続く12周目にはコロネルもオーバーテイクし、視界良好なトップランを確保する。