同国出身の元F1ドライバーも多数参戦する、ブラジル最大のツーリングカー選手権、SCBストックカー・ブラジルの2019年シーズン第6戦がカンポ・グランデで開催され、レース1はチアゴ・カミーロ(Ipiranga Racing)が勝利。続くレース2は、クラッシュ多発の荒れたレースをルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports)が制し、今季3勝目を飾っている。
8月10~11日の週末に開催されたシリーズ第6戦は、ブラジル南西部に位置し、パラグアイに国境を接するマト・グロッソ・ド・スル州最大の都市にあるカンポ・グランデのトラックが舞台に。静かに進行したレース1、セーフティカー(SC)多発の荒れたレース2と、対照的な展開の2ヒートとなった。
伝統的に8月第2日曜日を『父の日』とするブラジルでは、この週末がその祝祭日に該当し、サーキットの至るところでイベントが催された。そしてトラック上でも、SCBのグリッドでもっとも若い父親のひとりであるカミーロが幸先良くポールポジョションを獲得。ここまで6戦で5度目の最前列獲得という離れ業を演じてみせた。
するとレースでも、応援に駆けつけた家族を前に奮闘を見せ、第5戦でカミーロの連続ポールを阻止し、勝利を挙げているフリオ・カンポス(プラティ-ドナウジ・レーシング)相手にテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。
ピット作業を挟んで28周のレース全域で勝負を繰り広げた2台は、わずか0.286秒差でカミーロがプレッシャーに耐えきり、カンポスを振り切っての今季4勝目を飾った。
表彰台にひとり娘のルイーザちゃんを伴って登場したカミーロは、父の日の勝利に感情を抑えることができず男泣き。その姿に、ファンからは大きな祝福と歓声が送られた。
「父の日ということは強く意識していたし、娘の前で彼女にこのプレゼントを贈ることができて本当にうれしい。それで気持ちが高ぶってしまった」と、照れ笑いを浮かべたカミーロ。
「この高いコンペティションレベルを誇るSCBでここまで9レース中4勝も挙げられることは、現実的に考えてそうそう実現できることじゃない。この週末、レース1を狙うことは決めていたし、カンポスを封じるためオーバーライド・ボタン(SNSファン投票で使用者が決まる『FUN PUSH』のこと)はすべて使い切った。レース2は勝負にならないだろうが、結果には満足している」
そして2位カンポスに続き、3位表彰台にはSCBで5度のタイトル獲得経験を持つ“帝王”カカ・ブエノ(シムド・レーシング)が入り、不振続きのシーズンで初のポディウム獲得を果たしている。