FIA-F2参戦中の松下信治選手がモンツァのフィーチャーレースで、堂々の優勝を遂げた。表彰台では1週間前のスパで事故死したアントワーヌ・ユベール選手を悼み、ただ一人フランスの三色旗をあしらったルノーキャップを被って臨んだ。
松下選手は翌日のレース2でも5位に入り、選手権順位は6位に上がった。これでスーパーライセンスポイント獲得に必要な4位までとの差は、37ポイントまで縮まった。とはいえ残りはわずか2戦、4レース。「まだまだ崖っぷちの状況です」と松下本人が語るように、F1への道は決して平坦ではない。
――会心のレースだったのでは?
松下信治(以下、松下):ミスもしなかったし、持ってるものを出せた。予選のミスは、これで償えたかなと思います。まあ、普通のレースでした。モンツァは得意だし、ペースがあることはわかっていました。晴れの予選だったら、ポール争いもできていたと思いますね。
――スタートは良すぎて、行き場を失いかけた?
松下:危なかったです。ニキータ(マゼピン)が見ているかと思ったんですが、ギリギリちょっと当たったくらいでよかった。あとでカバーが飛んでいましたけど。
――2位に上がった時、どんな状況でした?
松下:僕、ブレーキがすごくいいんですね。というのも他のドライバーに比べると、ちゃんと準備して温めているから。2位を走ってたドライバーはそれをやらずに、僕と同じところで止まろうとしたから行きすぎちゃった。釣られて奥まで行っちゃったんでしょう。
――(カラム・)アイロットを抜いたのは?
松下:確か、オプションタイヤの時でしたよね。ペースが良くて飛ばしていたから、おそらくタイヤが熱垂れしたんでしょう。前がきつかったんだと思います。僕はニュータイヤで、少しマージンありましたし。
――その後は逆にアイロットに迫られ続けたけど、冷静に対処できた?
松下:ちょっとプッシュしたら遅れたんで、あ、大丈夫だなと思いました。もう、付いてこれなかったですね。
――コンマ6秒まで迫られた時は、抜かれると思わなかった?
松下:抜かれてもいいやと、思っていました。抜き返せる自信はあったし、何よりそういう時に頑張ってしまうと、あとで痛い目にあうことはわかっていましたし。
――これでスーパーライセンス獲得に向けて、いっそう弾みがついた?
松下:いや、崖っぷちですよ。(ロシア、アブダビ戦で)ノーミスで行かないと。予選も含めて。