世界的ツーリングカーの名手を多数輩出するアルゼンチン屈指の人気シリーズ、スーパーTC2000(STC2000)の2019年シーズン第8戦がサン・フアンで開催され、予選トップ3に課されるペナルティウエイトを回避する戦略を採用したマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)が、シリーズ初優勝を飾った。
DTMドイツ・ツーリングカー選手権が2リッターの直列4気筒直噴ターボを搭載したのと時を同じくして、この南米大陸の人気シリーズもこれまで使用してきた超コンパクトな2.7リッター自然吸気V8に別れを告げ、フランス・オレカ製のワンメイク直噴ターボを採用した。
この2リッター直列4気筒直噴ターボは、シリーズに参戦するトヨタ、ルノー、フィアット、シボレー、ホンダ、シトロエンらの各ワークス車両に搭載されるが、ボディワークを含めたエアロ形状は開幕前に各社合同での風洞試験を経てフィックスされている。
そのホモロゲーション申請で最適解を見つけたのがルノースポール・アルゼンティーナと、トヨタ・カローラを走らせるTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアで、選手権争いでも2強を形成。9月14~15日にサン・フアン州エル・ゾンダにある特徴的な立体交差を持つアウトドローモ・エル・ゾンダで争われた予選では、まさかのQ1敗退を喫したトヨタ陣営に対し、ルノー・フルーエンスGTは3台が“スーパー・シックス”セッションに進出した。
すると4番目に出走したシボレーYPFチームの2016年チャンピオン、アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が1分11秒970のトップタイムを記録し、フィアットDTAレーシングのマリアーノ・ウェルナー(フィアット・ティーポSTC2000)、選手権首位のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)、そして僚友のベルナルド・レイバー(シボレーYPFクルーズ) らを従えてポールポジションを獲得。
一方、ポイントリーダーのペーニャにアタックを敢行させたルノースポール勢は、チームの3台で戦略を分け、今季第5戦から導入された予選上位勢への“ペナルティウエイト”搭載を回避するべく、マティアス・ミラとシリーズ2連覇中のファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)の2台をノータイムとし、それぞれ5番手、6番手グリッドで決勝に挑むことを選択した。
するとこのルノー勢の戦略はズバリと的中し、60kgものウエイトを積んだポールシッターのカナピノは、スタートで良い蹴り出しを見せたにも関わらず、競争力あるレースペースが維持できず早々に後退。