南半球に進出したTCR規定ツーリングカー最大のシリーズ、TCRオーストラリアの2019年第6戦が9月20~22日にサンダウン・レースウェイで開催され、このラウンドにワイルドカード枠で参戦したWTCR世界ツーリングカー・カップ参戦中のネストール・ジロラミが、公式練習、予選、そして決勝3ヒートすべてを制覇するパーフェクトを達成。ワールドクラスの実力を証明する結果となった。
2019年に初年度シーズンを迎えたTCRオーストラリアは、すでに来季に向けバサースト、マウント・パノラマでの1戦がカレンダーに加わることが決定するなど、国内外から多くの注目を集める成功と盛り上がりをみせている。
その南半球で立ち上がった新選手権のシリーズ序盤戦に、同じくワイルドカード枠で参戦したWTCRレギュラー、元TCRインターナショナル王者のジャン-カール・ベルネイが初参戦、初勝利を収めていた例にならい、ふたり目のWTCR組として参戦したジロラミがどこまでそのパフォーマンスを見せつけるのかに注目が集まった。
ドライブするマシンはベルネイのアウディRS3 LMSと同様に、ジロラミが普段のシリーズ戦でステアリングを握るFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRで変わらないながら、初めて組むウォール・レーシング、初めてのミシュランタイヤ、そして初上陸のオーストラリア、初走行のサンダウン・レースウェイをどのように攻略するかがポイントとなった。
すると周囲の高い期待値に応えるかのように、ジロラミとシビックは最初の公式プラクティスからいきなりの最速タイムを記録。2番手の若きタイトル候補、HMOカスタマー・レーシングのウィル・ブラウン(ヒュンダイi30 N TCR)に0.89秒もの大差を築いてみせた。
その素晴らしい“ダウンアンダー”デビューは土曜にも引き継がれ、予選ではただひとり1分14秒台を切る1分13秒9637のトップタイムをマーク。2番手のVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー参戦組、普段はニッサン・アルティマのステアリングを握るケリー・レーシングのアンドレ・ハイムガートナー(ホールデン・アストラTCR)に対し、0.35秒差でポールポジションを奪ってみせた。
オーストラリアと同じ南半球アルゼンチン出身のジロラミは、続くレース1でもツーリングカー使いらしい熟練のドライビングを披露。スタート1時間前に襲来したヘビー・シャワーで路面はフルウエットと化しつつも、オープニングラップには天候が急回復し晴れ間が差す難コンディションでのレースになると、ここでなんとフロントスリック、リヤレインという、WTCC世界ツーリングカー選手権日本初開催ラウンドのトム・コロネルを思わせるミックスバッグをチョイス。