9月28日、2019年FIA-F2第11戦ロシアのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、ニック・デ・フリース(ART)がポール・トゥ・ウィンを達成し、最終戦を待たずして2019年シーズンのドライバーズチャンピオンに輝いた。日本の松下信治(カーリン)は6位、佐藤万璃音(カンポス)は16位だった。
前日の雨予報とは打って変わって晴れ渡ったソチ。気温20度、路面温度24度のドライコンディションで28周のレース1を迎えた。
ポイントランキングで首位を走るデ・フリースは予選でポールポジションを獲得し現在229ポイントで、2番手のニコラス・ラティフィ(ダムス)は166ポイントと、63ポイントの大差。このレースでデ・フリースが優勝すれば年間王者が確定する。
スターティンググリッドはデ・フリースを先頭にラティフィ、アイロットと続き、日本の松下は10番手、佐藤は19番手から上位を伺う。なお一回のピットインとミディアム、ソフトタイヤの使用が義務となる。
現地時間の17:00にレースはスタート。デ・フリースがホールショットを決め松下も一つポジションを上げ9番手に。後方では、スーパーフォーミュラに参戦しこのレースからF2に復帰したアーテム・マルケロフ(BWTアーデン)がターン3のエスケープでストップ。2周目までVSC(バーチャル・セーフティカー)が導入された。
4周目、4番手スタートのルカ・ギオット(ユニヴィルトゥオーシ)のペースがよく2番手ラティフィまであっという間に0.117秒差に迫り、これをパス。ファステストラップを刻みながら首位デ・フリースを猛追、翌周にトップへ浮上する。
後方では松下が猛チャージ。混戦する上位勢をごぼう抜き、1周で3つ順位を上げ、5番手ニキータ・マゼピン(ART)に0.452秒差と攻め立てる。松下の前方では11番手スタートのミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)が驚異的な速さを披露し3番手に。
タイヤが垂れてしまいペースに悩むソフトタイヤでスタートしたデ・フリース、ラティフィらは7周目に堪らずピットイン。一方ミディアムスタートのシューマッハー、松下らはアンダーカットを狙い猛プッシュする。
暫定8番手の佐藤まで、まだピットを終えていない状況の12周目、すでにタイヤを変えた9番手のデ・フリースが佐藤を捉える。暫定トップはギオット、以下マゼピン、シューマッハー、松下と続く。松下は5周に渡りシューマッハーの後ろをキープ、抜きあぐねていたが13周目にようやく追い抜きを完了した。
松下に抜かれるも追走していたシューマッハーが18周目、マシンの右リヤから突如白煙を上げる。プレマは様子を見ながらシューマッハーをステイアウト。だが20周目にピットインしここでレースを終えることに。
タイヤをマネジメントしながら走行した松下はペースが落ちてきたマゼピンを捉え暫定2番手に浮上。暫定首位のギオットとは11.286秒差となった。
そして24周目に松下がタイヤ交換のためピットイン、7番手でコースに復帰。首位を走るギオットは翌周にピットイン。これで全車がタイヤ交換を完了させた。
この時点で順位はトップがデ・フリース、2番手にラティフィ、3番手ルイ・デレトラズ(カーリン)、4番手ギオット、5番手セルジオ・セッテ・カマラ(ダムス)、6番手に松下となる。
デ・フリースは後方との差を徐々に広げ、ラティフィと4.308秒差をつけてファイナルラップへ。このまま順位は変わらずデ・フリースがポール・トゥ・ウィンでシーズン4勝目。2019年FIA-F2のドライバーズチャンピオンを掴み取った。
2位にはラティフィ、3位にはデレトラズが入った。F1参戦に必要なスーパーライセンスを獲得すべくシリーズランキング4位がマストの松下は6位でフィニッシュ、佐藤は16位で完走した。
デ・フリースはこのレース前に2019/20年ABBフォーミュラE選手権にメルセデス・ベンツからのフル参戦が発表されており、来季に向け弾みのつくシーズンとなった。
レース後に「(チャンピオンを獲れて)最高にクールだ。何位にいるのか分からず、ファイナルラップにゴールラインを越える前に無線で、今何番手を走っているのか聞いたんだ」とデ・フリース。
「トップを走っている、と伝えられたけれど100%信じることはできなかった。レースで勝てたのはうれしかった。それでも本当に成し遂げたのか半信半疑だったよ」
「パルクフェルメにマシンを止めた時にそれが分かる、とチームは言い、ボードを目の当たりにした時は最高に気持ちよかったし、鳥肌が立ったよ」
レース2は日本時間9月29日(日)17:20から行われる。
■FIA-F2第11戦ロシア 決勝レース1 リザルト
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap | Start Pos. |
---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | N.デ・フリース | ART | 28Laps | 1 |
2 | 6 | N.ラティフィ | ダムス | 4.918 | 2 |
3 | 1 | L.デレトラズ | カーリン | 5.995 | 7 |
4 | 8 | L.ギオット | ユニ ヴィルトゥオーシ | 7.607 | 4 |
5 | 5 | S.セッテ・カマラ | ダムス | 11.378 | 6 |
6 | 2 | 松下信治 | カーリン | 20.364 | 10 |
7 | 15 | J,エイトケン | カンポス | 27.403 | 12 |
8 | 3 | N.マゼピン | ART | 28.572 | 8 |
9 | 11 | C.アイロット | ザウバー・ジュニアチーム | 32.394 | 3 |
10 | 7 | Z.グアンユー | ユニ ヴィルトゥオーシ | 33.756 | 5 |
11 | 10 | S.ゲラエル | プレマ・レーシング | 43.365 | 13 |
12 | 16 | J.キング | MPモータースポーツ | 47.493 | 9 |
13 | 20 | G.アレジ | トライデント | 48.62 | 14 |
14 | 21 | R.ボシュング | トライデント | 59.021 | 15 |
15 | 18 | T.カルデロン | BWTアーデン | 1’09.884 | 18 |
16 | 14 | 佐藤万璃音 | カンポス | 1’46.218 | 19 |
17 | 17 | M.ラフーナサン | MPモータースポーツ | 1 LAP | 20 |
18 | 12 | M.イサーキャン | ザウバー・ジュニアチーム | 1 LAP | 17 |
— | 9 | M.シューマッハー | プレマ・レーシング | DNF | 11 |
— | 22 | A.マルケロフ | BWTアーデン | DNF | 16 |