トラッキーや物流関係者を中心に、EU圏内のみならなず世界で絶大な人気を集めるFIA欧州格式選手権、ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの第7戦が9月28~29日にフランスで開催され、シリーズを席巻する“帝王”ヨッヘン・ハーン(Hahn Racing/IVECO)が、前人未到6度目となるドライバーズチャンピオンを獲得した。
ここまで6戦24レースで実に11勝、圧倒的強さで2019年シーズンを席巻してきた帝王は、タイトル天王山となったこのル・マン、ブガッティ・サーキットでの週末も変わらぬレースマネジメントを披露。
土曜のスーパーポールセッションで今季の定位置となった最終走者としてトラックに姿を現わすと、アントニオ・アルバセテ(Trucksport Lutz Bernau/MAN)の2分05秒814、サッシャ・レンツ(SL Trucksport30/MAN)の2分05秒681を当然のように上回り、2分05秒653のトップタイムをマーク。2番手レンツに対し、わずか0.028秒差という僅差で見事に12度目のポールポジションを手にした。
すると、こちらもシーズンの流れを踏襲するようにレース1でも盤石の強さを発揮し、スタートではトラックを濡らすシャワーがあったのにも動じず、フロントロウのレンツをターン3まで続いたサイド・バイ・サイドの勝負で封じると、そのままトップチェッカー。2位レンツ、3位アルバセテのリザルトにより、ポイントスタンディング上で2番手につけるアルバセテに対し93点差として、続くレース2での戴冠に王手をかけた。
そのレース2は、セミ・リバースグリッドの採用により上位勢が混沌とした状況で1コーナーに突入するのがつねで、このレースでもオープニングからノルベルト・キス(Tankpool24 Racing/Mercedes-Benz Trucks)がレネ・ラインアート(Reinert Racing/IVECO)との接触でグラスエリアに押し出されたのを皮切りにマルチクラッシュが発生し、いきなりの赤旗中断に。
リスタート後は、アンドレ・クルシム(Don’t Touch Racing/IVECO)が首位をキープし、その背後から2019年シーズンを沸かせた女性ドライバー、シュティフィ・ハルム(Team SchwabenTruck Racing/IVECO)がレース1で5位に終わった鬱憤を晴らすべく、再三にわたってオーバーテイクを仕掛ける激しいバトルを演じるも、そのままポジションを守り抜いたクルシムが、ハルムと2017年王者のアダム・ラッコ(Buggyra Racing/Freightliner)を従えて、開幕戦以来の優勝を果たした。