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海外レース他 ニュース

投稿日: 2019.10.18 13:23
更新日: 2019.10.18 13:24

ユーロフォーミュラ・オープン最終戦:モンツァで佐藤万璃音、名取鉄平、角田裕毅が表彰台独占

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海外レース他 | ユーロフォーミュラ・オープン最終戦:モンツァで佐藤万璃音、名取鉄平、角田裕毅が表彰台独占

 イタリア・モンツァで2019年10月10~13日、ユーロフォーミュラ・オープン(EFO)のシーズン最終戦となる第9大会が7チーム/18台の参加により実施され、佐藤万璃音(モトパーク)はレース1で2019年シーズン9勝目を挙げ、レース2では5位入賞を果たした。ホンダ育成ドライバーでレッドブル・ジュニアの角田裕毅(モトパーク)はレース1で3位、レース2で2位、同じくホンダ育成ドライバーの名取鉄平(カーリン)はレース1で2位とレース2で3位でシーズンを締めくくった。とくにレース1では日本人3名が表彰台を独占する快挙となった。

■タイヤ戦略が分かれた予選1回目は名取がセカンドロウ確保

 2019年からスタートしたEFO。その初代チャンピオンの座は佐藤がすでに手中にしているものの、ランキング2位の座はルーカス・ドナー(テオ・マルティン)、リアム・ローソン(モトパーク)、リヌス・ルンクイスト(ダブルR)、そして角田が争う格好に。

 スーパーライセンスポイント獲得という点では、並行参戦しているFIA-F3でランキングランキング9位(スーパーライセンスポイントは2点)の角田と、同24位(スーパーライセンスポイントは0点)の名取は、このEFOでより多くのスーパーライセンスポイントを獲得するためにランキング上位を目指す必要もあったと言えるかもしれない。

 角田と名取はともに2019年シーズン2勝目を目指し、いずれの予選でもポールポジション獲得を狙っていた。予選1回目の名取は新品タイヤを2セット投入してポールを狙う。つまり決勝レース1はユーズドタイヤでのスタートとなる戦略である。

 これが功を奏して名取は3番手タイムを記録。セッション中のスロー走行で決勝レースは1グリッド降格のペナルティが科せられたが、それでも決勝レース1のスターティンググリッド2列目は確保した。

 角田は予選1回目で新品タイヤ投入は1セットに抑えた。決勝レース1へ新品タイヤで臨む戦略である。しかし、スリップストリームをうまく使えずトラフィックにも悩まされて10番グリッド確保が精一杯。さらには、セッション中のスロー走行で決勝レース1は2グリッド降格のペナルティを科せられてしまった。

 佐藤に関してはすでにドライバーズタイトルを獲得していることもあり、チームは彼にランキング3位につけるチームメイト、ローソンを助ける“露払いの任務”を予選1、2回目で与えた。

 モンツァでスリップストリームを使えば、最終コーナーのパラボリカから第1シケインまで、第1シケインから第2シケインまで、レズモからアスカリまで、アスカリからパラボリカまで、それぞれの区間でコンマ4秒ずつ、つまり一周で1.6秒も稼げる計算だ。

 佐藤はローソンにスリップを積極的に使わせるため背後に彼を置きながらタイムアタック。各予選でチームメイトの2番グリッド獲得に貢献し、ローソンはポールポジションこそ奪えなかったものの、「ありがとう」の言葉を口にして佐藤に握手を求めた。

■名取と佐藤が優勝争い繰り広げたレース1。角田も3位にくい込み日本人が表彰台独占

 決勝レース1はモンツァという高速サーキットの特性がレース展開に大きく影響、日本のドライバー同士の首位争いという事情も手伝って近年まれにみる名レースとなった。名取は3番グリッドから1周目に早くも先頭に立ち、佐藤もローソンの自滅により5番グリッドから1周目に3番手へ浮上した。

 佐藤は2番手のチームメイトに少々手を焼きながらも10周目に2番手へ上がり、名取を追った。そして12~14周目、佐藤は第1シケイン進入で名取を交わしながら、第2シケイン進入でふたたびポジションを明け渡す攻防を3度繰り返した。

 迎えた最終16周目の第1シケイン進入でふたたび先頭を奪うと、チャンピオンの佐藤はそのまま名取を振り切って今季9勝目を飾った。

「最後は僕のほうが一枚上手だったかなと。第1シケイン進入で抜いて、第2シケイン進入で抜いてもらうのは僕のシナリオどおり。あのまま逃げ切ろうとは思っていなかった」と佐藤。

レース1を制した2019年チャンピオンの佐藤万璃音(モトパーク)
レース1を制した2019年チャンピオンの佐藤万璃音(モトパーク)

「もちろん逃げ切れたらラッキーだけど、3番手のクルマが追い付いてこなかったですよね? 3番手のクルマが追い付いてきたら、第1シケインで抜いたタイミングでそのまま逃げ切ろうと思っていたけれど、どうしても付いて来なくて“一対一”の勝負となり、そうなると抜いて抜かれてとなってしまう」

「だから、毎周毎周同じ展開を続けて相手のリヤタイヤの消耗を進めさせることに専念し、最終周の第1シケイン立ち上がりで頑張って振り切った。タイヤをコントロールし続けて来たから最後に差が出た」

「今季は先行逃げ切りが多かったけれど、こういう展開のレースでも勝てると証明できた」

 これに対して名取は、「僕たちカーリン勢は予選で新品タイヤを2セット使っていて、新品タイヤを1セット温存していたモトパーク勢とは決勝で履いているタイヤが違っていた。中古タイヤで決勝を走り始めたので、第2シケインで抜かれたら右コーナーが連続するセクター2で追いつけるペースはなかった」と悔しさをにじませる。

「つまり第1シケインで抜かれても第2シケイン手前で抜き返せば、中古タイヤでもセクター2で後ろを抑えきれると自分はイメージしていた。だから第1シケインでは抜かれても立ち上がりを重視して、それがうまくいって第2シケイン進入で先頭を取り戻せていた。でも、最後の最後で読まれてしまった感じはありますね」

「正直、最後の1~2周で後ろを引き離せていればと思ったけれどタイヤが厳しかった。最後の1周までは自分の理想的なレースだった。でも最後の1周はうまくいかなかった。自分の後ろにもドライバーが迫って来ていたので、そこのツメが少し甘かったかなと」

レース1で12番手スタートから表彰台へ食い込んだ角田裕毅(モトパーク)
レース1で12番手スタートから表彰台へ食い込んだ角田裕毅(モトパーク)

 佐藤と名取によるトップ争いの後方では、12番グリッドから鬼神の追い上げを見せた角田がファイナルラップの最終コーナーをうまく立ち上がり、4位に0.015秒差で表彰台の最後の一角に食い込む大健闘をみせた。

「スタートのエンジンストールがなかったら、100%トップ争いはできていた」とレースを終えた角田。

「クルマの調子は良かった。本音を言えばスタートの失敗で力が抜けていた。『これはないなー』と自分のなかで感じていた。だから何も考えないまま順位を上げることだけに専念した。そうしたら先頭争いが見えるまでに接近したんです」

「とにかくトップ争いはしたかった。2台抜かないと先頭に立てなかったとはいえ、あと1、2周あれば面白い展開になっていたでしょう」

■レース2は名取、角田がトップ走行もセーフティカーの不運もあり後退


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