日本の高校生ドライバー、佐藤万璃音がイタリアFIA-F4に参戦する挑戦記。イタリアの田舎町で一人暮らしでレースを続ける佐藤万璃音。第8回目は、インドア派の万璃音がイタリアの保養地を満喫する様子を紹介。
9月末にイモラで開催されたイタリアFIA-F4第6大会で、マーコス・シーベルトやミック・シューマッハー(※ミハエル・シューマッハーの息子)といったチャンピオン争いを繰り広げるライバルを尻目に初優勝を飾った佐藤万璃音。それまでの不調を吹き飛ばす同大会での快進撃は、前回大会ヴァレルンガでレース開催中の気分転換が功を奏したのかも?
「そもそも僕は、ジムでのトレーニングやファクトリーでのミーティング、レースやテスト以外はあまりアパートから出ません。学業はもちろん、掃除洗濯ご飯炊きと毎日の家事でとても忙しい(汗)。もちろん空き時間はありますが、たいていは部屋にこもってラノベ(ライトノベル)を読んだり、アニメを観たり、アニソンを聴いたり、シーズンオフの日本でのライブを予約したり……。まあ、絶望的なオタクですね!」
「だから、“イタリアへ行ったらいろいろと案内して”と友人や知人に求められても、苦笑いするしかありません。僕の住んでいるフォルリの田舎のアパート、サーキット、たまにヴィンチェ(ヴィンチェンツォ・ソスピリVSRチーム代表)と行くミラノなどの日本食レストランへお連れするのでいっぱいいっぱい。観光地? なんですか? それ? たぶん、イタリアに住みながらイタリアの名所旧跡を最も知らない日本人は僕です(汗)」
「自動車運転免許証を持てない年齢という理由もありますが、たとえ免許や自動車があっても、僕は積極的に外出したい人間ではありません(汗)。暑いのも寒いのも、虫も面倒くさいのも嫌いです」と語る万璃音。これは無理矢理にでも外の空気を吸ってもらおうと、幹線道路沿いのモーテルに泊まる万璃音を不憫に思った筆者はヴァレルンガでのレースウィーク、サーキットやモーテルからさほど遠くないブラッチャーノ湖畔の保養地、トレヴィニャーノ・ロマーノの風光明媚なレストランで夕飯を摂ろうと提案した。