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海外レース他 ニュース

投稿日: 2019.12.04 12:40
更新日: 2019.12.04 12:43

決勝レースすべてポール・トゥ・ウイン。ミカエル・ヒザルがFIAグランツーリスモ選手権の新王者に【大串信の私的レポート】

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海外レース他 | 決勝レースすべてポール・トゥ・ウイン。ミカエル・ヒザルがFIAグランツーリスモ選手権の新王者に【大串信の私的レポート】

 2019年FIAグランツーリスモ選手権ワールドファイナルに向けて、2018年のネイションズカップワールドチャンピオンであるブラジル代表イゴール・フラガは万全の調整を進めていた。

 シリーズ第2戦ニュルブルクリンク、第3戦ニューヨークと連勝してワールドファイナル進出を決めたあとはネイションズカップへ出走せず、自身のリアルレース活動を展開しながらワールドファイナルに焦点を当てた練習に集中したのだ。

 今年もモナコには18カ国・36名の選抜選手が集まった。フラガの対抗馬は、今シーズン安定した速さを示しシリーズ第4戦ザルツブルグで初優勝を遂げたドイツ代表ミカエル・ヒザル、第5戦東京で初優勝を遂げた日本代表國分諒汰、そして速さは誰しも認めるものながら未冠のままでいるオーストラリア代表コディー・ニコラ・ラトコフスキー、シーズン後半速さと奇策で一気に注目選手となった日本代表宮園拓真という強豪たちである。

FIAグランツーリスモ選手権ワールドファイナル in モナコの会場
FIAグランツーリスモ選手権ワールドファイナル in モナコの会場

 ところが36人からファイナルレース進出12名を選抜するセミファイナルA組レースで大番狂わせが起きた。

 最初のレースをヒザルに続き2番手からスタートしたフラガは悠々上位で勝ち抜くはずだったのだが、なんとスタート直後の1コーナーでコースを踏み出し、コントロールを失ってコースオフ、最後尾へと順位を落としてしまったのだ。

 その後必死に追い上げをするが届かず、結果は敗者復活戦にも届かない10位。絶対の自信を持って臨んだフラガではあったが、痛恨のミスで早々に王座争いから脱落が決まったのだった。

準決勝で敗者復活戦に残ることもなく敗退したイゴール・フラガ。ほんの少しのミスが大きな命取りに
準決勝で敗者復活戦に残ることもなく敗退したイゴール・フラガ。ほんの少しのミスが大きな命取りに

 また、セミファイナルB組レースでは國分がバトルの過程でコースから押し出されて最下位で終わり敗退、やはり決勝進出12名に残ることができなかった。

 万全の準備をしていたフラガ、前回優勝して勢いに乗った國分ですら重圧の前にわずかなミスを犯しライバルに押しのけられる。FIAグランツーリスモ選手権で繰り広げられる戦いの激しさ、レベルの高さを今さらながら見せつけられる大波乱であった。

 一方、このセミファイナルA組を予選タイムトライアルからポールポジションでスタート、ベストタイムを記録してトップ通過したのがヒザルだった。

 来年は学業のため選手権出場が難しくなりそうだというヒザルもまた、このワールドファイナルに賭けていた。学業の合間をすべて練習に使って徹底的に走り込み、この週末に備えていたのだった。

ドイツのミカエル・ヒザル。まだ20歳の若武者は日本語も学んでいる
ドイツのミカエル・ヒザル。まだ20歳の若武者は日本語も学んでいる

 セミファイナルを勝ち抜いた精鋭12名が出走するネイションズカップ決勝は、それぞれのレースでポイントが獲得できるレース1、レース2、レース3およびダブルポイントのグランドファイナル、計4つのレースで行われ、総合獲得ポイントによって順位を決定する仕組みである。

 TOP12予選の結果、ファイナルレース1のポールポジションにはヒザルがつけ、2番手にはやはりあの男、ラトコフスキーが続いた。ニューヨーク大会で批判を浴びたラフなドライビングを反省し、スタイルを切り替えてシーズン後半はクリーンな走りに切り替えながらも、その速さは健在でセミファイナルB組レースで優勝を遂げていた。

 そして3番手にはセミファイナルC組レースで優勝を遂げた日本期待の宮園がつけた。その天性の速さは今や誰もが認めるものである。

■ライバルたちに付け入る隙を与えないヒザルの走り


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