2019年3月に構想が発表された新たな電動シングルシーター選手権の『ERAエレクトリックレーシング・アカデミー・チャンピオンシップ(Electric Racing Academy Championship)』は、電動モータースポーツの世界におけるジュニア・シングルシーター・シリーズを目指すと宣言。2020年後半にもイギリス、ベルギー、オランダで全4戦の開催を計画している。
F4規定となる童夢製のF110シャシーをベースに“Mitsu-Bachi(ミツバチ)F110e”と名付けられたワンメイクシャシーを採用するERAチャンピオンシップは、低コストによる参戦の容易さというアクセシビリティに重点を置くという。
その新EVフォーミュラ選手権の技術面と商業面のディレクターを務めるディーター・ヴァンスウィンホーベンは、ABBフォーミュラE選手権以下のラダーフレームとなるEVステップアップ・カテゴリーの役割と、コスト管理が主なふたつの目標であると選手権の狙いを説明する。
「電動モータースポーツの世界において、フォーミュラE以外のシングルシーターは今もって存在していない。今この時点で、その空白地帯にこそ我々がモータースポーツ界で補完できる大いなるギャップがあるんだ」と語るヴァンスウィンホーベン。
「多くの若手ドライバーがフォーミュラEとその将来性を見込んで、電動モータースポーツのシリーズを探しているが、シングルシーターでの経験に固執したいのであれば、フォーミュラEに昇格するまでは内燃機関のカテゴリーで腕を磨くしかないのが現状だ」
「我々こそが“フォーミュラEへのフィーダー・シリーズだ”などと公式に言うつもりはないが、そこには明らかに大きな空白があるのも事実で、だからこそ価値があるとも思っている」
ERAチャンピオンシップの標準的なスポーツ・クラスの年間エントリー費用は、約10万ユーロ(約1200万円)を見込んでおり、チーム単位で特定のパワートレイン領域を開発可能とするイノベーション・クラスでは約7万ユーロ(約850万円)が想定されている。
「いずれの場合にせよ、初年度を終えれば各ドライバーやチームはマシンを所有することになるので、セカンドシーズンはそれよりも明らかに廉価なコストでシリーズを戦うことが可能になる」と続けるヴァンスウィンホーベン。