フォードとホールデンの2大メーカー対決に回帰した、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの2020年シーズンが2月21~23日に開幕を迎えた。第1戦の市街地スプリント“アデレード500”は、土曜レース1をセブン・タイムス・チャンピオンのジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB/レッドブル・ホールデン・レーシング)が、続く日曜レース2をスコット・マクローリン(フォード・マスタング/DJRチーム・ペンスキー)が制し、両雄がっぷり四つの結果になると同時に、若き王者は3連覇に向け早々にシリーズリーダーの座を確保した。
レースウイークに入った開幕直前、2月18日ザ・ベンドでの最後のプレシーズンテスト前日に発表された「ホールデン・ブランドの2021年限りでの廃止」というビッグニュースに揺れたVASCシリーズ。
その衝撃も冷めやらぬアデレードのパドックでは、ホールデンのファクトリー・プログラムを担うレッドブル・ホールデン・レーシングのトリプルエイト・レースエンジニアリングが、7冠王者ウインカップと2016年チャンピオンの“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンとの契約延長を発表。ともに2021年まで契約の残るホールデンとともに「新たなタイトルに向け死力を尽くす」ことを誓った。
一方、2018年はフォード・ファルコンFG-Xで、2019年は新型フォード・マスタング・スーパーカーでシリーズ連覇を達成し、新世代VASCの顔となったマクローリンは、この2020年を制して3連覇達成を手土産に、北米へと渡ることが確定的な見通しに。
マクローリンはこのオフにもVASCタイトル獲得の報酬としてペンスキーのインディカー・テストに参加し好成果を挙げたことで、シリーズのインディアナポリス・ロード戦へのスポットデビューが決まるなど、DJRチーム・ペンスキーの共同オーナーであるディック・ジョンソン代表も「不測の事態でもない限り(北米への進出は)規定路線」と示唆するなど、マクローリンのかねてからの夢だったインディカー・シリーズへの本格デビュー実現が濃厚となった。
これまでとは違う空気が流れるなか幕を開けた2020年シリーズ初戦は、プラクティスからホールデン勢が勢いを見せ、オープニングセッションでデビッド・レイノルズ(ホールデン・コモドアZB/エレバス・モータースポーツ)がトップタイムをマークすると、その後もSVGや移籍により初のホールデンをドライブするチャズ・モスタート(ホールデン・コモドアZB/ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド)らが立て続けに最速を記録。そのまま予選でも暫定ポールをSVGが、シュートアウトではウインカップが最前列を確保し、コモドアZBがマスタングへの逆襲を予感させるスピードを披露した。
このトップ10シュートアウトでフォード勢最上位に入ったのは、フロントロウのレイノルズに次ぐ3番グリッドを確保したウィル・デイビソン(フォード・マスタング/23レッド・レーシング)で、5番手にティックフォードのキャメロン・ウォーターズ(フォード・マスタング/モンスターエナジー・レーシング)が続き、王者マクローリンは7番手に甘んじる結果となった。