2012年のWTCC世界ツーリングカー選手権チャンピオンであるロブ・ハフが、2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップへの参戦を見合わせることを発表した。実質的なシリーズからの引退表明で、ハフは15年間におよぶ世界的ツーリングカー・シリーズの舞台から退くこととなる。
過去2シーズンをSLR(セバスチャン・ローブ・レーシング)で過ごし、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブしてきたハフだが、同チームはフォルクスワーゲン・グループが表明した「内燃機関モータースポーツ・カテゴリーにワークス体制での参戦は行わない」という指針を受けてシリーズを撤退した。
そのため、チームに所属していたハフ、ヨハン・クリストファーソン、メディ・ベナーニ、ベンジャミン・ロイヒターの4名はレースシートを失う形になっていた。
そんな背景もあり、ハフは2020年シーズンに向け最高峰ツーリングカー・シリーズへの参戦を見送り、自身が運営に関与する『Teamwork Huff Motorsport(チームワーク・ハフ・モータースポーツ)』や中国での活動に注力することを決断。この結果、350戦出走で通算31勝、このうちマカオでは前人未到の9勝という輝かしい戦績を残して、世界選手権での15年間のキャリアに終止符を打つこととなった。
「この決断を受けてなお、ロブは我々WTCRファミリーの一員であり、今後もそれは変わらないだろう」と惜別の辞を贈ったのは、WTCRプロモーターであるユーロスポーツ・イベント代表のフランソワ・リベイロ。
「この15年間、彼はトラック上で非常に優れたレーサーであり、偉大な大使でもあった。2020年の新たなチャレンジに向け、その成功を祈念するとともに、いつかまた彼がWTCRのグリッドに戻ってきてくれる日を楽しみにしている」
2012年のWTCC王者は、今後CTCCチャイナ・ツーリングカー・チャンピオンシップで共闘するSAICフォルクスワーゲン333レーシングでの活動に力を注ぐと同時に、GTカテゴリーや自身が偏愛するヒストリックカー・レースの分野に目を向けたいと抱負を語った。
「世界的ツーリングカー・シーンでこれほど長いキャリアを積んだことを、今は心から誇りに思うよ。350ものレースにエントリーできたなんて、信じられない気分だ。そんなに多くのレースを戦ったなんて思えないほどだよ」と世界選手権でのキャリアを振り返ったハフ。