日本のみならず、世界中で驚異となっている新型コロナウイルス。その影響は世界各地のモータースポーツシーンにも及んでおり、レースの開催延期・中止が相次いでいる。2019年のEFOユーロフォーミュラ・オープンでは圧倒的な好成績で王座を獲得し、シーズン途中からはFIA-F2選手権にも参戦、2020年はトライデントからFIA-F2へフル参戦する佐藤万璃音も先行きの見えない状況に苦しんでいるひとりだ。
万璃音が参戦するFIA-F2は3月20〜22日のF1第2戦バーレーンGPのサポートレースとしてシーズン開幕を迎えるはずだったが、同大会は3月13日に新型コロナウイルスの影響で開催延期が発表された。その後の大会も延期が相次いでおり、3月25日時点で延期などが発表されていないのは6月3〜5日のオーストリア・レッドブルリンク大会。しかしこのレッドブルリンク大会も予定どおり開催されるかは不透明だ。
今回はふだんヨーロッパを拠点に生活している万璃音に、バーレーン大会延期が発表される直前の3月12日と、延期発表後の20日に電話取材を行い、ヨーロッパの状況や自身の現状を聞いた。
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■3月12日(木)
――いまはどこにいますか?
「モナコです。街は観光シーズンでもないので人は多くなく、マスクしている人は見かけません。殺伐としている印象ではないですね」
――日本を発ってヨーロッパへ戻ったのは1月末でしたよね。
「はい。イタリアのフォルリでトレーニングしたり、トライデントのファクトリーへ行ったり。当時のイタリアは移動制限もありませんでした」
――そのあとは?
「アジアン・ル・マン・シリーズに参戦しているCARGUY Racingの通訳として、2月半ばにタイのブリーラムへ行きました。そして3月頭のFIA-F2テストのため、タイからバーレーンへ移動しました」
――バーレーンにはスムーズに入国できましたか?
「空港では3時間くらい足止めを食らいました。通常のインフルエンザ検査と同じく、検査に使う綿棒を鼻に入れられ、結果が出るまで待ちました。トライデントのメンバーは、空港で9時間くらい足止めされていましたね」
――FIA-F2開幕戦のため、ふたたびバーレーンへ行くわけですが?
「僕はまずニースからロンドンへ飛び、ロンドンからバーレーンへBA(ブリティッシュ・エアラインズ)で飛ぶ予定です。テストのときもニースからロンドン、ロンドンからバーレーンでしたが、ほかの旅程を選択した人たちは最終的に僕と同じ旅程へ変更せざるを得ませんでした」
――トライデントのメンバーは開幕戦でバーレーンに入国できそうですか?
「じつのところ数人のメカニック以外、主要メンバーはバーレーンのテスト後も現地に残っています。かなり長い滞在ですから、経費の面からすれば避けたかったところでしょうね」
――同じイタリア拠点のチーム、プレマの状況ははどうでしょう?
「新型コロナウイルスの状況がこれほど悪化するとは考えていなかったのか、プレマのメンバーはバーレーンでのF2テスト後にイタリアへ帰ったと聞いています」
――バーレーンでFIA-F2やFIA-F3の開幕戦が実施されると思いますか?
「それは分かりません。とにかく最新情報をもとにアドリブで対応するつもりです。かなり早めの3月14日にバーレーンへ発つ予定をいまは組んでいます」