FIAの欧州各式選手権であるETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップは、5月19日(火)付で「新たなデジタル戦略プラン」を発表し、世界中のモータースポーツカテゴリーで導入される施策に倣い、新たに全8戦のeシリーズ『ETRC DIGITAL RACING CHALLENGE』の創設をアナウンスした。
今回の発表に先立ち、先週15日には2020年の暫定エントリーリストを公開し、17名の強力なドライバーがグリッドに並ぶことを明かしていたETRCだが、選手権プロモーターであるETRAヨーロピアン・トラック・レーシング・アソシエーションは、同時に全8戦のカレンダーを6戦に削減し、開幕時期をさらに遅らせる措置も発表している。
こうして世界的な流行をみせる新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は他のカテゴリー同様にトラックレーシングの世界にも及び、FIA ETRCもバーチャル空間でのレーシングトラックによるイベントを立案。
本来なら“リアル”の開幕ラウンドを務める予定だったハンガロリンクは、ハンガリー政府が定めた「2020年8月15日まで500人を超えるイベントの開催を禁止する」との措置で10月へのスロット移行を申請中だが、全8戦から成るこの『ETRC DIGITAL RACING CHALLENGE』では5月24日(日)に第1戦を担うことが発表された。
2019年にはETRCファンに向け、複数のコンシューマー機向け公式ゲームが発売されているが、ETRC DIGITAL RACING CHALLENGEではシミュレータープラットフォームの『Assetto Corsa(アセットコルサ)』を採用する。
このeシリーズにはETRCにフルシーズンエントリー登録をするドライバーや、ワイルドカード枠での参戦が認められ、スポーティング規則やレースフォーマットは実際のFIA ETRCに基づき、コースオフィシャル、レースコントロール、および役員(全員がDMSBライセンスを所持)によって監視、監督される。
MANやIVECO、Mercedes-Benz Trucksなどバーチャル空間のトラックも実際のマシンと同様の構造と2020年仕様カラーリングを再現し、ドライバーはそのリバリースキームのみ個別に調整することが可能となっている。
各ラウンドは25分スプリントレースの4ヒートで構成され、コース上では12台のレーシングトラックが勝負を繰り広げる。最高速度上限の160km/hも再現し、オーバーテイクに必要な技術や、物理と慣性の法則はその他の一般的なレーシングシミュレーターとは異なるモデルを採用する。
レース2はリバースグリッドとなり、ペナルティの適用やブレーキ冷却用200リッター容量ウォータータンクの手動管理も導入されるため、これを無制限に使用すれば困難な状況に陥ることも予想され、本戦同様にレースイベント全体の戦略にも緊迫感のある状況が生まれる。
日曜開催の各ラウンドは中央ヨーロッパ時間(CET)の18時(日本時間翌午前2時)からイベント開始となり、ETRCの公式YouTubeチャンネル、Facebookページ、Twitch、オフィシャルWebサイトなど、ソーシャルメディアプラットフォーム全体でライブ配信される予定だ。
■ETRC DIGITAL RACING CHALLENGE 2020年カレンダー
Round | Date | Circuit |
---|---|---|
1 | 5月24日 | ハンガロリンク |
2 | 6月7日 | ミサノ |
3 | 6月21日 | スロバキアリンク |
4 | 6月28日 | ニュルブルクリンク |
5 | 7月5日 | モスト |
6 | 7月19日 | ゾルダー |
7 | 8月2日 | ル・マン(ブガッティ) |
8 | 8月16日 | ハラマ |