7月4日(土)、2020年FIA-F2開幕戦となる第1戦オーストリアのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、カラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)が優勝。日本の松下信治(MPモータースポーツ)は9位、角田裕毅(カーリン)が18位、佐藤万璃音(トライデント)はリタイアとなった。
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により開幕延期となってしまったFIA-F2だったが、3ヶ月遅れでようやくの開幕となった。また今シーズンからタイヤが18インチにサイズアップしたことも特徴だ。
開幕の地、レッドブル・リンクの気温は26℃、路面温度44℃のドライコンディション、規定周回数は40周、タイヤ交換を行う1回のピットインが義務付けられている。
ポールスタートは周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、2番手にフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、セカンドロウには3番手のカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、4番手にクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)。
日本人トリオは、角田が12番手、松下は21番手、佐藤は22番手からのスタートとなった。またほぼ全車がソフトタイヤを選択している。
波乱はレース前から発生。スターティンググリッドに向かうルカ・ギオット(ハイテックGP)がその途中にマシンをストップ。またフォーメーションラップ開始直後、佐藤がマシントラブルで動けずリタイアとなってしまった。
そしてレースは日本時間23時45分にスタート。ホールショットは中央からロケットスタートを決めたアイロット。しかし2番手にドロップした周冠宇も即座にスリップについて順位を奪還。チームメイトの2台は牽制しながら3コーナーを抜けていく。
後方からは5番手スタートのミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)が3番手まで順位を上げ、オープニングラップを完了した。
3周目、角田がマシンに異常を感じたか緊急ピットイン。F2デビュー戦の角田だったが早々に戦線離脱してしまう。1周目にチームメイトのユアン・ダルバラ(カーリン)に追突、スピンさせておりこの影響と見られる。また角田はこの接触でペナルティを受けてしまった。
7周目、ショーン・ゲラエル(ダムス)がマシントラブルでスロー走行。なんとかピットにたどり着くも、このタイミングでリタイアに。
随所でバトルが勃発するなか、ニューフェイスが大健闘。8周目、昨シーズンのFIA-F3チャンピオン、ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)が4番手まで浮上。ユニ・ヴィルトゥオーシとプレマの2台がレースをリードする展開へ。
12周目、タイヤ交換のため各マシンが続々とピットインを開始。上位勢では14周目に4番手シュワルツマンと5番手ダニエル・ティクトゥム(ダムス)が、トップの周冠宇は18周目にハードタイヤへ交換した。
そして20周目、実質トップのシューマッハーがピットイン。アンダーカットに成功し周冠宇の前でコースに復帰。しかしその翌周にはペースのいい周冠宇が順位を元に戻す。
26周目、全車がピットインを完了させ順位が整理された矢先、なんと好調を維持していた周冠宇が突然のスローダウン。
どうやらギヤチェンジができなくなり、なんとかマシンをピットに運ぶも、勝負権を完全に喪失。また全チームの脳裏にはマシンの信頼性に対する不安がよぎることに。
さらにアーテム・マルケロフ(BWT HWAレースラボ)もトラブルでスローダウンしコース脇でストップ。これにより28周目にセーフティカーが導入された。
この時点で順位は首位アイロット、2番手シューマッハー、3番手にはルーキーのマーカス・アームストロング(ARTグランプリ)、4番手シュワルツマン。4人のフェラーリ育成ドライバーが首位を固める構図になった。
レースは31周目に再開。大きなアクシデントなく全車1周をクリアするかに見えた矢先、シューマッハーが7コーナーで単独のオーバーラン。順位を大きく落としてしまう。
またこの展開に乗じて松下が9番手まで順位を回復。リバースグリッドとなるスプリントレースで前列スタートの権利を獲得すべく、松下は8位以内を狙っていく。
その後はアイロットが独走。リスタートで順位を上げた2番手アームストロングに3番手シュワルツマンが毎周のように肉薄。
このまま順位は変わらずアイロットが逃げ切りでF2初優勝。2位には13番手スタートのアームストロング、3位にシュワルツマンが入り、ルーキーふたりが表彰台を獲得した。
松下は最終周で8番手のドルゴヴィッチに0.433秒と迫るも一歩およばず9位でフィニッシュ。また角田は18位でレースを終えた。
スプリントレース(決勝レース2)は日本時間7月5日(日)18:10から行われる。
■FIA-F2第1戦オーストリア フィーチャーレース(レース1) リザルト
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap | Start Pos. |
---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | C.アイロット | ユニ・ヴィルトゥオーシ | 40Laps | 3 |
2 | 5 | M.アームストロング | ARTグランプリ | 8.856 | 13 |
3 | 21 | R.シュワルツマン | プレマ・レーシング | 9.291 | 8 |
4 | 6 | C.ルンガー | ARTグランプリ | 10.878 | 4 |
5 | 2 | D.ティクトゥム | ダムス | 11.277 | 9 |
6 | 17 | G.アレジ | BWT HWAレースラボ | 12.828 | 18 |
7 | 11 | L.デレトラズ | チャロウズ・レーシング・システム | 16.267 | 10 |
8 | 15 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 17.033 | 2 |
9 | 14 | 松下信治 | MPモータースポーツ | 17.435 | 21 |
10 | 22 | R.ニッサニー | トライデント | 19.543 | 16 |
11 | 20 | M.シューマッハー | プレマ・レーシング | 20.049 | 5 |
12 | 8 | J.ダルバラ | カーリン | 22.008 | 6 |
13 | 12 | P.ピケ | チャロウズ・レーシング・システム | 24.996 | 15 |
14 | 24 | N.マゼピン | ハイテックGP | 25.885 | 11 |
15 | 9 | J.エイトケン | カンポス・レーシング | 30.138 | 14 |
16 | 10 | G.サマイア | カンポス・レーシング | 53.934 | 19 |
17 | 3 | 周冠宇 | ユニ・ヴィルトゥオーシ | +1Lap | 1 |
18 | 7 | 角田裕毅 | カーリン | +1Lap | 12 |
— | 16 | A.マルケロフ | BWT HWAレースラボ | DNF | 20 |
— | 1 | S.ゲラエル | ダムス | DNF | 17 |
— | 23 | 佐藤万璃音 | トライデント | DNF | 22 |
— | 25 | L.ギオット | ハイテックGP | DNF | 7 |