現地時間7月11日(土)、2020年FIA-F2第2戦オーストリアのフィーチャーレース(決勝レース1)が開催され、ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)が初優勝。日本の角田裕毅(カーリン)が初表彰台となる2位を獲得、佐藤万璃音(トライデント)は16位、松下信治(MPモータースポーツ)は17位だった。
新型コロナウィルス(COVID-19)感染予防策として2週連続でシュピールベルクのレッドブルリンクでレースが開催されることとなった。
昨日から予想されていたとおり、あいにくの雨模様。直前に行われたF1の予選も雨で45分のディレイとなって行われた。フィーチャーレース直前の気温は14.3℃、路面温度18.7℃のウェットコンディション。規定周回数は40周、タイヤ交換を行う1回のピットインが義務付けられている。
ポールスタートはF2デビュー2戦目の角田、2番手に周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)とアジア人がフロントロウを独占。セカンドロウには3番手のカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、4番手にルカ・ギオット(ハイテックGP)。
また佐藤万璃音(トライデント)は11番手、松下信治(MPモータースポーツ)は14番手から上位入賞を狙う。
またもレース開始前から波乱が起きる。フォーメーションラップに向け走行していたアーテム・マルケロフ(BWT HWAレースラボ)だがスピン。再始動できずレースをせずにリタイアとなってしまった。
そしてレースは予定よりも1時間近く遅れ、現地時間17時35分にセーフティカー(SC)先導でフォーメーションラップを開始した。マシンが作るウォータースクリーンが大きく視界は非常に悪い状況だ。
5周に渡りSCが先導するも路面状況は一切改善されず、レースは赤旗中断となり、全車ピットへ一旦引き上げることに。そこから約1時間、コンディションの回復を待つこととなった。
周回数が36周に短縮されることとなり、さらに4周のSCランを経てレースは5周目に再開。濡れた路面を慎重に掴みながら角田は申し分ないスタートで1コーナーを通過する。
後方は水しぶきで視界はほぼゼロに等しい状態でレースは進んでいく。なおギオットをジャック・エイトケン(カンポス・レーシング)がパスし4番手へ浮上した。
角田は1.302秒後方に2番手の周を従え、3番手以降を引き離していく。以降各車は1秒前後のスペースを開けながらレースを展開。また下位のマシンは早々にピットインするなど戦略も大きく分かれていく。
10周目を終えた頃から、わずかにレコードラインが見え始め、路面状況は回復傾向に。また上空には雲の切れ間が見え始めた。
上位勢に大きな変動はないが、7番手のロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)が非常ペースがよく、前を行くギオットとは0.498秒差に接近。滑る路面を積極的に攻めるシュワルツマンは14周目にギオットを攻略して6番手へ浮上した。
その前方では2番手の周が1分29秒台を連発して首位を行く角田とのギャップをジリジリ縮め、15周終了時点でふたりの差は1.295秒へ接近する。
後方ではルーキーふたりの勢いが非常によく、クリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)とシュワルツマンがギオットを抜いてそれぞれ4・5番手へ浮上した。
首位を走る角田だが20周目には周とのリードを徐々に広げることに成功、その差を3.300秒とし後半戦へひた走る。21周目には暫定2位の周と暫定4位のシュワルツマンがそれぞれピットインを完了させた。
そして23周目、首位の角田にチームからピットインの無線が飛ぶもステイアウト。毎周のようにピットクルーがサインボード提示するが角田はピットに向かって手で何かアクションをしながらこれをパス。結局27周目にピットインしタイヤを交換。このとき左フロントタイヤの装着でタイムロスを計上する。
これで角田は周、シュワルツマン、アイロットにアンダーカットされ暫定5番手でコースに復帰することとなった。
28周目に暫定首位だった松下がピットインしたことで順位が整頓される。この時点で順位は直前に周を抜いたシュワルツマンが首位。2番手に周、3番手にはアイロットをパスした角田。
フレッシュなタイヤを履く角田は上位2台よりもペースに勝り、30周目には周を抜いて2番手に浮上。首位シュワルツマンよりも1秒近く速いペースで2.9秒差を詰めにひた走る。
追われる首位のシュワルツマンもペースアップするが、それを角田は1秒以上早いペースで追撃。32周目にはその差が1.266秒まで接近。33周目にはシュワルツマンと角田の差が1秒以内に突入する。
しかしシュワルツマンはタイヤに余力を残していたか角田はこの1秒差が縮まらない。そしてこのままチェッカーフラッグを受けた。
優勝はシュワルツマン、2位の角田はF2デビュー2戦目で初表彰台となった。3位には周が入った。
「表彰台を獲得できてよかったです。無線のトラブルがありピットインが遅れたことが2位になった要因と思いますが、ロバート(シュワルツマン)のタイヤマネジメントが優れていました。F2初めての表彰台を嬉しく思います」と角田はインタビューで語っている。
日本の佐藤は16位、松下は17位だった。
スプリントレース(決勝レース2)は日本時間7月12日(日)18:10から行われる。
■FIA-F2第2戦オーストリア フィーチャーレース(決勝レース1) リザルト
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap | Start Pos. |
---|---|---|---|---|---|
1 | 21 | R.シュワルツマン | プレマ・レーシング | 36Laps | 6 |
2 | 7 | 角田裕毅 | カーリン | 1.512 | 1 |
3 | 3 | 周冠宇 | ユニ・ヴィルトゥオーシ | 18.228 | 2 |
4 | 20 | M.シューマッハー | プレマ・レーシング | 18.367 | 9 |
5 | 4 | C.アイロット | ユニ・ヴィルトゥオーシ | 20.766 | 3 |
6 | 6 | C.ルンガー | ARTグランプリ | 22.271 | 8 |
7 | 5 | M.アームストロング | ARTグランプリ | 24.710 | 12 |
8 | 2 | D.ティクトゥム | ダムス | 28.851 | 15 |
9 | 9 | J.エイトケン | カンポス・レーシング | 31.738 | 5 |
10 | 1 | S.ゲラエル | ダムス | 32.102 | 16 |
11 | 25 | L.ギオット | ハイテックGP | 33.012 | 4 |
12 | 8 | J.ダルバラ | カーリン | 35.430 | 7 |
13 | 15 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 38.963 | 10 |
14 | 24 | N.マゼピン | ハイテックGP | 42.978 | 17 |
15 | 22 | R.ニッサニー | トライデント | 53.122 | 13 |
16 | 23 | 佐藤万璃音 | トライデント | 54.292 | 11 |
17 | 14 | 松下信治 | MPモータースポーツ | 54.659 | 14 |
18 | 12 | P.ピケ | チャロウズ・レーシング・システム | 1’02.481 | 18 |
19 | 11 | L.デレトラズ | チャロウズ・レーシング・システム | 1’11.498 | 19 |
20 | 10 | G.サマイア | カンポス・レーシング | 1Lap | 22 |
21 | 17 | G.アレジ | BWT HWAレースラボ | 1Lap | 21 |
— | 16 | A.マルケロフ | BWT HWAレースラボ | DNS | 20 |