「勝てたレースだった。悔しいです！」とFIA-F2第2戦オーストリアのレース1後に語った角田裕毅選手。序盤は背後から迫る周冠宇選手を危なげなく抑えていたもの、その後は無線トラブルでピットインのタイミングが遅れ、さらにピット作業では左フロントタイヤの交換遅れでコースに戻った時には4番手まで落ちたにもかかわらず、自力で2位まで順位を戻した。ルーキー2戦目ながら、堂々と戦って2位表彰台を勝ち取ったレースだった。
──まずはレース1を振り返ってください。
角田裕毅（以下、角田）：F2で初めてのウエットレースでしたけど、序盤のペースはよくて、タイヤマネジメントもしっかりできてました。2番手の周選手を抑えることも余裕をもってできていましたしね。序盤の時点では無線もしっかり聴こえてました。ところが、タイヤがそろそろきつくなってきた時に、まだピットに呼ばれないのかなと思い始めた。
それでもそのまま走っていたらピットウォールでエンジニアとメカニックが何かジェスチャーをしているのが見えました。それで無線で確認しようと思ったら、全然通じない。なのでもう1周ピットインを送らせてピットウォールに近づいた。それでようやく、ピットインのサインが出ていることがわかりました。そこで2周タイミングが遅れて、さらに左前輪のタイヤ交換に手間取って4番手まで落ちてしまった。でもそこから頑張って取り返そうとプッシュしました。
僕の中ではあと5〜6周だと思っていたのが、サインボードを確認したら7〜8周あった。そこでちょっと攻め過ぎました。最終的には（トップ走行のロバート）シュワルツマンを抜くだけのペースを維持できませんでした。もちろん悔しいですけど、キャリア最初の表彰台ですし、いいステップが踏めたと思います。
──どの時点で無線が壊れたのかはわからなかったんですね。
角田：はい。ピットに入ろうとするまで、全然わからなかったです。まさか壊れるとは、思ってなかったです。
──終盤には多くのクルマがタイヤのタレでペースを落としていました。その意味では2周遅れたことが、結果的によかったかもしれない？
角田：展開的には悪くなかったと思います。ペースもよかったです。もしあそこで残りの周回数を勘違いせずにプッシュし過ぎていなかったら、ペースもあそこまで落ちなかったでしょう。タイヤマネジメントを普通にしていたら、勝てたレースでした。もちろんチームの定めた周回数でピットインしていたら、もっと楽なレースになってたでしょうけど。でもそうじゃなくても、自分のタイヤマネジメント次第で勝てていた。そこは反省ですね。
──もし無線が壊れていなかったら、残り周回数の確認もできていた？
角田：そうですね。そこで確認できなかったことで、焦りも出たと思います。
──ピット作業の遅れで4位に後退したことも痛かった。
角田：それはそうですけど、仕方のないことです。メカニックを責めるつもりは全然ないです。それがあっても、タイヤマネジメント次第で勝てていたと思います。
──初表彰台に上がったうれしさと、勝てなかった悔しさと、どちらが大きいですか。
角田：もちろん、悔しさです。うれしい気持ちは……正直ないです。チームのみんなの前ではうれしいと言いましたけど、本当は悔しいです。勝てたレースでしたから。
──スタートの時点から勝てる自信はあった？
角田：いえ、全然それはなかったです。F2での雨はまったく初めてでしたし、2年目のドライバーが来るだろうなと思ってました。勝てるという思いはなくて、とにかく自分の走りに集中しようと思いました。とにかくくだらないミスだけはしないように走ろうと。なので無線トラブルがわかるまではすごく落ち着いていたし「行けるかも」と思い始めていましたね。でも無線がダメとわかってから焦り出して、コースに戻ったら4番手まで下がってたことで、焦りはさらに増しましたね。
──でもそこから2台のオーバーテイクは非常にスムーズでした。
角田：そうですね。でも結果的にプッシュし過ぎてしまいました。
──優勝はできませんでしたが、ドライバーとして成長できた実感はありますか？
角田：はい。開幕戦でチームに迷惑を掛けてしまったし、それが少しでもお返しができたかなと。自分としても、自信につながるレースができました。
