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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.07.12 14:32
更新日: 2020.07.12 14:33

インディカー第3戦詳報:レース巧者なディクソンが開幕3連勝。琢磨は追い上げ次戦に期待

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海外レース他 | インディカー第3戦詳報:レース巧者なディクソンが開幕3連勝。琢磨は追い上げ次戦に期待

 ロードアメリカを舞台にダブルヘッダーで開催されているNTTインディカー・シリーズ。11日に行われた第3戦は、9番手スタートのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が勝利し、開幕3連勝を飾った。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、1周目で22番手まで下がるも、追い上げを見せ9位でレースを終えた。

 ついにインディカー・シリーズがファンをサーキットに迎えてのレースを行った。この時を待ち焦がれたファンがコースサイドに陣取る。その目の前で23台のハイパワーオープンホイールマシンが55周のハードファイトを繰り広げた。

 レース結果は驚くべきものになった。

 予選では9番手と振るわなかった2連勝中のスコット・ディクソンが、チームの的確な判断によるピットタイミングと、ディクソンの予選アタックのようなイン、アウトラップによって一気に優勝争いへと食い込んだ。

 そして、最後のピットストップではクルーたちが熟練した技によってトップを保っていたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の前にディクソンを送り出した。

スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)
スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)

 5度ものシリーズタイトル獲得経験を持つディクソンは、パワーからのレース終盤のチャージをすべて弾き返し、6月6日のテキサス・モーター・スピードウェイ、7月4日のインディアナポリス・モータースピードウェイに続く3連勝を達成した。

 3連勝は2016年のシモン・パジェノー以来(ロングビーチ、インディ・ロードコース、アラバマ)だ。

「今日、こうして勝てたけれど、いったいどうやって自分がここまでポジションを上げることになったのか、まだ完全に理解はできていないんだ」

「28周目にピットストップをした後、パワーがP1で自分がP2だと聞かされ、信じることができなかった。今日のマシンはドライビングが難しく、レース中に少しずつ調整をしていったが、暴れるリアをコントロールするのが大変だった」

「それでも、ライバルたちの方がより苦労をしているように見えていた。3連勝を実現できて本当にうれしい」とディクソンは語った。

 この勝利は彼にとってインディカーでの通算49勝目。マリオ・アンドレッティのシリーズ通算52勝目にまたひとつ近づいた。

 今日の彼の勝利は、開幕2レースのようなライバル勢を突き放した速さを見せてのものではなかったが、9番手スタートの不利を跳ね除けての勝利となった。

 序盤に大量リードを築き上げたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がピットでのエンジンストールで大きく後退し、昨年度ウイナーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は序盤のコースオフで自滅。

 予選2番手だったジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク・レーシング)はマシントラブルでコースから飛び出した。

 パワーはディクソンの後方2.5386秒で2位フィニッシュし、開幕3戦目にして初表彰台だ。

「ピットで何が起きたのかはわからない。ディクソンを後方に封じ込め続けることは可能と感じていた。彼は速かったが、僕たちをパスすることはできなかったと思う」とレースを振り返った。

 ジャッキ担当の一瞬の判断ミスにより、パワーはトップの座を明け渡したのだった。

ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)

 3位はルーキーのアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)。

 デビュー3戦目にして、見事な戦いぶりを貫いての表彰台フィニッシュは、今後に大きな期待を抱かせる。先輩チームメイトのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が彼より前を走っており、3位でフィニッシュするはずだったが、最後のピットストップでルーキーのダルトン・ケレット(AJ・フォイト・エンタープライゼス)がピットアウトするフェルッチの進路を妨害。彼は6位でのゴールとなった。

 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、久しぶりにチーム内で最高のパフォーマンスを発揮。表彰台は逃したが、チームリーダーは4位でゴールした。

 そのすぐ後ろの5位はコルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)。昨年ロードアメリカでポールポジションを獲得しているハータだが、今日のレースではとうとう最後まで優勝争いに顔を出すことはなかった。それでも粘り強くトップ5入りをするところは彼らしいが……。

第3戦ロードアメリカ表彰台で喜ぶ3人
第3戦ロードアメリカ表彰台で喜ぶ3人

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、プラクティスでマシンを目指すものに仕上げ切れず、予選向けの変更で進化は果たしたが、納得のいくレベルまでハンドリングを向上させることはできなかった。

 レースでのマシンはリヤが安定せず、21番手まで序盤にして後退する苦しい展開となった。ピットストップで満タンまで燃料が入らないトラブルもあり、より一層の燃費セーブを必要とする戦いともなっていた。

 しかし、ラップを重ね、ピットストップでセッティングを調整することでマシンを徐々に良くしていくことに成功、9位でのゴールを果たした。 

 琢磨はレース後、「2戦連続で最後尾近くから追い上げるレースになっちゃいましたね。プラクティス、予選と自分たちがは考えているマシンバランスにならず、15番グリッドからスタート。レースでは1周目のハンドリングが悪かったために後方まで順位を下げました」

「しかし、その後は徐々にマシンのパフォーマンスが戻ってきて、チームの戦略も良かったことから、9位でゴールできました。ブラックとレッドの両タイヤに関してなど、良いデータがたくさん得られたレースだったので、明日のレース2ではそれらを活かした戦いがしたい」

「今日とは大きく違ったセッティングを予選では試します。それがまずは大きな楽しみですね。それが考えている通りの成果を示せば、今日より前方のグリッドからレースを戦うことができるでしょう」と、飛躍のヒントを掴んだことを話していた。

ロードアメリカを駆ける佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
ロードアメリカを駆ける佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)


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