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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.08.16 11:26
更新日: 2020.08.16 11:27

くじ運も功を奏し2017年以来のファストナイン進出を果たした琢磨「3度目はチームにお願いしてアタックした」

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海外レース他 | くじ運も功を奏し2017年以来のファストナイン進出を果たした琢磨「3度目はチームにお願いしてアタックした」

 第104回インディアナポリス500マイルレースに挑むレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、予選1日目を9番手で終え、初優勝を遂げた2017年以来のファストナイン進出を果たした。

 今年のインディ500ウイークは、プラクティスの日程も、走行時間も短縮されたために、いかに効率良くマシンを仕上げるか、チームとドライバーの実力が試されるところだった。

 特にインディ500では予選と決勝でのマシンセッティングには、大きな違いがある。

 単独で走る予選には他のマシンの影響は受けないが直線と4つのコーナーのアベレージスピードの高さが求められ、決勝用のマシンは速度を保ちつつも、他車と混走となった場合のハンドリングの安定性、タイヤの磨耗などを考慮しなければならない。マシンの速さを求める究極の妥協点を探す作業になる。

 佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの総合力が光ったのはプラクティス2日目だった。

 琢磨はセッション開始30分過ぎに225.693mphをマークしてトップに立つとプラクティス終了30分前まで、トップタイムを守り続けた。

 この日はレースセッティングが主体となる日だったが、セッティングを変えながらも122ラップも周回を重ねていた。

「タイムが出たことはうれしいけど、まだ満足出来る状態ではないし、なかなか前のクルマを抜いていけない。決勝レースで抜くのは難しいかもしれないから、予選の位置は大事になると思う」と言う琢磨。

 3日目は、ファストフライデイと呼ばれる予選を想定したプラクティス走行日。琢磨はそこで8番手のタイムをマークしていた。

「予選を想定したセッティングを試したけど、最初のセッティングが少し方向性が違ったので、また変えました。3台で情報を交換しながら走ってみましたけど、今日は日中暑くてタイム出なかったから、明日(予選初日)は、気温が上がらない早めの予選順がいいかもしれない。後ろの方だったら望みなし(笑)」と走行後に冗談半分で語っていた琢磨だが、そこに信じられないような奇跡が起きる。

 チームのマーケティング担当をしている女性が引いたクジで、琢磨はなんと予選アテンプト順が2台目と言う順番を手にいれた。しかもチームメイトのグラハム・レイホールがトップ! 3台目のクルマ、スペンサー・ピゴットも7番目のアテンプトとこれ以上望みようのないくらいの順番だった。

 そしてその思惑が予選1日目で実現する。

 予選が始まりトップで走行したグラハムは、4周平均で230.822mphをマーク。琢磨もこれを破るべくコースインしたが、結果は230.792mphと僅差で上回ることはできなかった。

11度目の挑戦となるインディ500で最初のアテンプトに挑む佐藤琢磨
11度目の挑戦となるインディ500で最初のアテンプトに挑む佐藤琢磨

 このレイホールの2台をルーキーのリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)やアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)が抜くというサプライズもあったが、もっと驚くべきはアンドレッティ・オートスポート勢の韋駄天ぶりだった。

 琢磨も2017年にアンドレッティに在籍していた時は予選4番手を獲得しており、アンドレッティ勢の予選の速さはわかっていたが、トップのマルコ・アンドレッティから、ライアン・ハンター-レイ、アレキサンダー・ロッシ、そしてジェイムズ・ヒンチクリフと1-2-3-4を占めたのだった。

 琢磨はファストナインに残る9番手の位置となり、気が気ではない状態。

 最初のアテンプトを終えた後は「くじ運のおかげで上位に残れてますけど、この後はライバルの様子を見て2回目に出るかどうか考えます。気温が上がってタイムが出るかどうかで……」と話していたが、10番手となっていたコルトン・ハータや17番目だったザック・ビーチの若いアンドレッティ勢が巻き返しを狙って来ないわけはない。一度ピットに戻ると2回目のトライの準備を始めた。

 午後3時前、2回目のトライに出た琢磨は、4周平均で自己のタイムを上回ることはできずに9番手のままだった。

 チームサイドは、大きなタイム短縮が望めない状況で3度目のトライをしない判断をしたが、琢磨はチームに懇願し、3度目のトライをすることになった。

 琢磨の列の前にはハータも並んでおり、彼にタイムを抜かれたら、最後のアテンプトでそれを上回らなければならない。

 幸いなことにハータの4周平均ラップは10番手のままとなり、琢磨は生き残った状態だが、あえて最後のアタックに出る。

 最後のアタックは平均230.307mphと平凡なものに止まったが、琢磨はこのタイムに好感触を感じていた。

「他のマシンのアタックを見ていて、僕らもなんとかしようと、3度目はチームにお願いしていかせてもらいました。僕らは予選順に助けられてファストナインに残っていただけで、純粋にスピードが足りていたわけではなかった」

「でも結果を見てもわかるように、ホンダはすごく頑張ってくれたと思う。最後のアタックは安定して4ラップ刻めたし、やって良かったと思う。明日に向けて大事なアタックでした」

「今日はアンドレッティとガナッシのディクソンのスピードにやられちゃっているので、いきなりフロントロウに食い込むのは難しいかもしれませんけど、やれるだけのことはやりたいと思います」

 優勝した2017年に続く2度目のファストナイン通過を果たした琢磨。上位9台の中にペンスキー勢がおらず、シボレーもヴィーケイの1台のみという予選初日だったが、予選2日目は、どこまで上位に浮上してくるだろうか? 琢磨は予選2日目トップで予選アタックに出る。

予選通過後の恒例の記念写真を受ける佐藤琢磨
予選通過後の恒例の記念写真を受ける佐藤琢磨


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