WTCR世界ツーリングカー・カップやWTCC世界ツーリングカー選手権に参戦し、長らくセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)に所属してシリーズを追ってきたメディ・ベナーニが、2020年のTCRヨーロッパ・シリーズへの参戦を決断。Comtoyou Racingに加入し、アウディRS3 LMSをドライブすることが決まった。またベナーニと同じくSLRで戦った経験を持つジョン・フィリピはTarget Competitionへ。さらにTCRドイツからの撤退を決めたばかりのハルダー兄妹が、ヨーロッパ・シリーズへの完全移行を表明している。
モロッコ政府の強力なバックアップを受け、WTCC時代からマラケシュでの市街地レース実現にも貢献したベナーニは、この2020年に向けてはSLRの活動休止を受けレースシートを喪失する状態となっていた。
過去2シーズンはそのSLRでフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブしたベナーニだが、8月22~23日の週末にフランス・ポールリカールで開幕するTCRヨーロッパ参戦にあたって、すでにフル参戦を表明済みのサミ・タウフィク、ニコラス・ベアトらとともにアウディRS3 LMSへとスイッチすることとなる。
ベナーニと同じモロッコ出身で現在18歳のタウフィクは、アーデンからフォーミュラ・ルノーなどに参戦したのち、2019年はTCRドイツやベネルクス・シリーズなどで、すでにComtoyouのアウディを経験している。
一方、WTCC時代にはCampos Racingを経てSLRにも所属したフィリピは、2020年に向けアンドレアス&ジェシカのバックマン兄弟のチームメイトとして名門Targetに加入。チャンピオンカーのヒュンダイi30 N TCRをドライブすることが決まった。
「強豪チームに加入してヒュンダイをドライブすることができるなんて、これは僕にとって本当に素晴らしい機会だ。パンデミック前の2月時点で、2020年シーズンに向けたプランが白紙になってしまったが、このチャンスに躊躇なく決断した。初めてクルマをテストして4日後には契約を結んでいたからね」と、喜びを語ったフィリピ。
現在25歳のフランス人は2019年にもTCRヨーロッパ・シリーズを戦っており、Vukovic Motorsportの開発ドライバーとしてルノー・メガーヌR.S.TCRをドライブ。後半戦はPCR Sportに移籍し、クプラ・レオンTCRのステアリングも握っていた。