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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.08.31 14:56
更新日: 2020.08.31 14:57

ポールスタートも周回遅れに抑えられ9位に終わった琢磨「ブルーフラッグは何度も振られていたのに」

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海外レース他 | ポールスタートも周回遅れに抑えられ9位に終わった琢磨「ブルーフラッグは何度も振られていたのに」

 このワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイに来ても、佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの勢いは衰えず、土曜日に行われた第8戦にあたるレース1ではチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンと最終ラップまでトップを争いレースを盛り上げた。

 予選でポールポジションを取った日曜の第9戦に、より期待がかかるのは必然だった。

 昨日よりも気温も路面温度も上がった日曜日。ソーシャルディスタンスを保ちながら、観客は思い思いのスタンドに席を取ってレースを待っている。

 マシンがスターティンググリッドに着き、エンジン始動のコマンドを待つ直前に、コース上にオイルが発見され、ほぼ一周に渡りオイル処理が施されたおかげで、レースは約15分ほど遅れて始まった。

 ポールポジションの琢磨は、隣のグリッドのジョゼフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)をうまく抑え、ターン1にホールショットを決めた。

トップをキープする佐藤琢磨
トップをキープする佐藤琢磨

 その勢いのまま、どんどんニューガーデン、ウィル・パワーのペンスキー勢を引き離していく。気温が高い中でもカーナンバー30のマシンは良いパフォーマンスを見せていた。

 琢磨はすぐにラップ遅れのエド・カーペンターに追いついてしまい、抜きあぐねている間にニューガーデン、パワーたちも、その距離を詰めて来た。もちろんカーペンターを抜くチャンスをうかがっていたが、最初のオイル処理の関係でコースに汚れが残り、2ワイドになる余裕もなかった。

周回遅れのカーペンターに抑えられた琢磨。ペンスキーの2台が追い上げてくる
周回遅れのカーペンターに抑えられた琢磨。ペンスキーの2台が追い上げてくる

 琢磨の様子を見たペンスキー勢は、47周目にニューガーデン、48周目にパワーをピットに入れる。チップ・ガナッシもディクソンを47周目に入れ、4番手を走っていたルーキーのパトリシオ・オワードを46周目に入れている。

 琢磨はカーペンターの後ろで巧みに燃費をセーブしていたおかげで、最も遅く59周目に最初のピットに入ったが、結果的にこれが裏目に出てしまった。コースに戻った時には8番手まで落ちてしまったのだ。あまりにカーペンターに塞がれている時間が長すぎたのだ。

 だが、今週の琢磨はスピードがあったし、この後にイエローコーションが出る可能性もあり、まだ挽回できるチャンスはあると思われていた。

 オワードが今度はトップに立ちレースをリードしていたが、2度目のピットのピークは95周目を過ぎてから、パワーとディクソンが98周目、ニューガーデンは101周目にピットインを敢行。それに対し琢磨は昨日同様オーバーカットを狙ってペースを上げ、102周目から108周目までトップに立った。

 109周目ピットに入って作業を済ましてコースに戻ると7番手、114周目には5番手となったいた。だが琢磨はバックマーカーのスポットにすっぽりはまってしまい、ザック・ビーチの後ろでまたもや苦悩することになる。

 ビーチをプッシュし続け、青旗も振られていたがビーチも譲らない。ビーチはこの時点で4ラップ遅れなのだ。

ビーチが琢磨を抑えていたおかげで、琢磨の目の前6番手だった同じアンドレッティ・オートスポートのコルトン・ハータは、逃げる時間を稼ぐことができた。

 ビーチにはチームから琢磨を抑えるような指示を出していたことが、RLLRは無線で確認している。

 琢磨の直後にいたニューガーデンは、早いピットインの成果もあり最後はトップを維持し続けた。対して琢磨は7番手まで落ち、挽回の機会を逸していた。見事なまでの好対照である。

ターン2を走行する佐藤琢磨
ターン2を走行する佐藤琢磨

 残り5周となった時、前のマシンが急減速したために、アウト側に避けた琢磨はコースサイドの汚れに乗ってウォールに接触。マシンのダメージは少なかったものの、これがきっかけでイエローコーションとなり、琢磨自身も9番手に落ちた。

 1周25秒あまりのショートオーバルトラックでは、グリーンに戻る時間もなくニューガーデンはペースカーの後ろでチェッカーを受けた。琢磨は9位でフィニッシュ。

 ピットに戻りマシンを降りた琢磨の表情は険しい。

「最初のカーペンター、そしてビーチといい、納得ができませんね。チームはもちろん抗議しましたがレースはそのままだった」

「ブルーフラッグは彼に何度も振られているんですけどね。他のチームは昨日僕がオーバーカットする形タイムとペースを稼ぐのを見ていたから、今回は早く動いてきましたね」

「僕らもそれに合わせて早く動いていたら、太刀打ち出来たはず。そういった意味では、僕らの取った作戦が失敗だったかもしれない……」

 インディ500から数えて3戦連続表彰台を逃してしまったが、ランキングは4位まで浮上しいている琢磨。残り5戦でどこまで浮上することはできるだろうか。


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