9月12~13日にオーストリア・ザルツブルクリンクでの2020年開幕戦を予定していたWTCR世界ツーリングカー・カップだが、その日程を維持したまま会場を急きょベルギーのゾルダーに変更することが発表された。この結果、無観客開催は継続ながらTCRヨーロッパ・シリーズとの併催イベントとなり、木曜にはシリーズ公式テストの実施も決まっている。また、この決断に際してプロモーターであるユーロスポーツイベントは、ザルツブルクリンクに対し訴訟を検討していることも明らかになった。
開幕直前のこのタイミングになって、オープニングレースの会場を変更するという異例の決断を強いられた背景には、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の蔓延状況を受け、ザルツブルクリンクのサーキット代表が「レース開催を許可しない」と判断したことが発端となった。
その同じ日付で新たにWTCR開幕戦をホストすることになったベルギーのゾルダー・サーキットだが、すでに同週末はTCRヨーロッパ・シリーズの第2戦開催が予定されていたこともあり、WTCRのカレンダー変更はすでにFIA国際自動車連盟によって承認されている。
「シーズン開始の3週間前になって会場を変更することは予想外の出来事だったが、当面の優先事項は別の解決策を提示することだった。FIAとジャン・トッド代表が、このような短期間で新しいシーズン開幕計画を承認してくれたことに感謝したい」と語るのは、シリーズプロモーターであるユーロスポーツイベント代表のフランソワ・リベイロ。
「予告なしにスケジュールを調整することは理想的ではないが、我々は当初から可能な限り最大数のイベントを維持するよう努力してきた。これは、すべての関係者やステークホルダーの利益を中心に、プロスポーツとしての信頼性を確保するためだ」と続けるリベイロ。
「国際的なモータースポーツイベントのレベルで高い実績を持つサーキット・ゾルダーとのパートナーシップが、この機会を実現し我々の窮地を救ってくれた。FIAやゾルダーの経営陣ともヨーロッパでのCOVID-19の蔓延状況を監視し、近隣諸国のすべてのWTCRチームが確実に参加できるよう準備を進めていきたい」