9月5~6日の週末に、6月下旬以来の創設シーズン第2戦を迎えたTCRデンマーク・シリーズは、両日とも複数ヒートを実施する過酷なダブルヘッダー戦として開催され、過密日程のなかデンマーク国内のDTC(Danish Thundersport Championship)元王者でもあるキャスパー・エルガード(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/TPR Motorsport)が、全5ヒート中で3勝を飾る大躍進を見せた。
この2020年が初年度シーズンとなるTCRデンマークは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックからシリーズ再開を模索してきた欧州モータースポーツ・シーンの先陣を切り、6月20~21日には無観客、ゲストのパドック入場不可、車両整備のクルーにも人数制限を設けるなどの措置で早期の開催に漕ぎ着けた。
その開幕戦と同様に、ユトランド半島中央部シルケボー近郊に位置するFDMユランズリングで開催された第2戦は、予選からホンダ勢がフロントロウを独占する展開に。
フルウエットで始まったセッション中盤には開幕勝者のキャスパー・H・ジェンセン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/Massive Motorsport)が最速タイムを維持していたものの、チェッカー間際に水量が減ったコース上でエルガードがラストアタック。自身とおなじくDTC出身者で2018~2019年と連覇を達成しているジェンセンを0.5秒近く上回り、シビック対決を制して唯一となる1分15秒台でのポールポジションを射止めた。
続いて開催された18周のオープニングレースでもエルガードの勢いは衰えず、レースを通じて再三のアタックを見せたジェンセンを抑えきりライト・トゥ・フラッグの完勝。3位にはおなじく国内のツーリングカーやスポーツカー耐久で4度のタイトルを経験するマーティン・アンダーセン(ヒュンダイi30 N TCR/Andersen Motorsport)が続く表彰台となった。
一方、デンマーク・シリーズの顔として参戦する元F1ドライバーのヤン・マグヌッセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)は、ギヤボックストラブルのためレース1をスタートできず。
続くトップ8リバースグリッドのレース2にはなんとか修復を間に合わせたマグヌッセンは、6番グリッドから逆転勝利を飾ったヒュンダイのアンダーセン以下、3位に入ったチームメイトの若手ニコライ・シルベスト(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/LM Racing)や、ホンダのジェンセンらとバトルを演じ5位入賞で苦しい初日を終えている。