BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2020年シーズン第5戦が9月19~20日にスラクストンで開催され、TOYOTA GAZOO Racing UK・ウィズ・ギンスターズのトム・イングラムが今季初優勝から2戦連続勝利をマーク。トヨタ・カローラBTCCが反撃の狼煙を上げると、最終ヒートはBTCレーシングのジョシュ・クックとトム・チルトンがワン・ツーを飾り、FK8型ホンダ・シビック・タイプRも勝利を掴むなど、NGTC規定の日本車勢が快進撃を見せている。
大幅ディレイで8月に開幕を迎えた2020年シーズンは、チームBMWの王者ウエスト・サリー・レーシング(WSR)に対しレーザーツールズ・レーシングの元ファクトリーマシン、インフィニティQ50BTCCが立ちはだかるなどFRサルーン同士の勝負が続いてきた。
しかし、イングランド南岸のハンプシャー州に位置するイギリス屈指の高速サーキットでの勝負は、タイトルスポンサーであるYUASA(ユアサ)との10周年を記念して1戦限りのカラーリングを採用したハルフォーズ・ユアサ・レーシングのチーム・ダイナミクス、ダン・カミッシュ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が好走を見せる。
カミッシュのシビックはフリー走行1回目、2回目最速タイム記録の勢いそのままに、予選でもコースレコードを更新するタイムでポールポジションを獲得。フロントロウ2番手に今季からTOYOTA GAZOO Racing待遇を得たスピードワークス・モータースポーツのイングラム、セカンドロウには大ベテランのマット・ニール(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/ハルフォーズ・ユアサ・レーシング)とアダム・モーガン(メルセデス・ベンツAクラス/ カールーブ・トリプルR・レーシング・ウィズ・マックツールズ)が並ぶなど、FFマシンが猛威を振るう展開となった。
いつもならスタンディングスタートでのトラクションを活かして、FR勢が優位に立つオープニングでも、今回からFR車両に課せられたブースト調整の影響かBMWやインフィニティ勢には元気がなく、8番手発進の王者コリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ/チームBMW)はシングルポジションアップ、同11番手発進のアシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/レーザーツールズ・レーシング)は8番手進出に留まる。
その一方、ホンダ勢を出し抜いてホールショットを決めたのはトヨタのイングラムで、2番手に下がったポールシッターのカミッシュに3番手ニールのチーム・ダイナミクス勢、メルセデスのモーガン、そしてジェイク・ヒル(ホンダ・シビック・タイプR/MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)を従えた5台のトレインで後続を引き離しに掛かる。
すると4周目の最終シケインでパンクを喫したヒルがこの隊列を離れて戦線離脱。代わって今季投入の新型モデルをドライブする好調ロリー・ブッチャー(フォード・フォーカスST/モーターベース・パフォーマンス)が5番手に上がってくる。しかし、そのフォードの背後にはディフェンディングチャンピオンのターキントンと、2016年にスバルとともにタイトルを獲得したサットン、ふたりのFR使いが迫ってくる。
このチャンピオン同士のバトルにも意外な結末が訪れ、6周目の1コーナーでインを刺したサットンが6番手に浮上すると、そのまま王者ターキントンはスローダウン。メカニカルトラブルを抱えたBMW330i Mスポーツは7周目終わりでピットへと向かい、懸命の修復作業が続けられることに。