11月28日(土)、2020年FIA-F2第11戦バーレーンのフィーチャーレース(決勝レース1)がバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催され、フェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)が今季3勝目となる優勝を飾った。最後尾22番手からスタートした日本の角田裕毅(カーリン)は6位でポイントランキング3番手を維持、佐藤万璃音(トライデント)は20位だった。
気温27.0度、路面温度29.9度でドライコンディション。規定周回数は32周、タイヤ交換を伴う1回のピットインが義務付けられ、ミディアムとハードが選択された。
ポールポジションは選手権2位につけるカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)。その横にフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)、セカンドロウは3番手にダニエル・ティクトゥム(ダムス)、4番手にマーカス・アームストロング(ARTグランプリ)。
佐藤は17番手、角田は最後尾の22番手からスタートとなるフィーチャーレースは現地時間12時10分、日本時間の18時10分にフォーメーションラップを開始した。
32周のレースはスムーズにスタートし接触なく1コーナーを通過、ドルゴヴィッチがアイロットを抜いてトップに。またジャンプアップに成功したのはスタートに定評のある10番グリッドのミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)。1周目を終えて4番手に浮上、後方では角田が3つ上げて19番手まで回復する。
2周目に入り周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)がシューマッハーとの接触でフロントウィングを壊しピットイン。コース上ではそのシューマッハーが早々にアームストロングを攻略にかかるが応戦、順位を入れ替えながら走行していく。また先頭から10秒後方の角田は17番手を走行。さらに0.3秒前方を走るライバルを虎視眈々と狙っていく。
角田は4周目に今季のFIA-F3でシリーズ2位となったザウバー育成のテオ・プルシェー(HWAレースラボ)を抜いて16番手となり、8番手走行中のロイ・ニッサニー(トライデント)まで約6秒となった。
7周目、角田は選手権5位のロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)を抜き去り15番手まで上り詰める。次は1.3秒先のショーン・ゲラエル(ダムス)がターゲットだ。前方では8周目のホームストレートでDRSを使ったアームストロングがアイロットを抜き2番手へ。ミディアムを履くもペースが伸びないアイロットは翌周、ハードを履くシューマッハーに同じような抜き方をされ4番手まで後退してしまった。
勢いに乗るシューマッハーはターン9でブレーキロックし白煙を上げてアンダーを出したアームストロングをパス、2番手となり2.736秒前方にドルゴヴィッチという展開となる。
11周目、選手権6位のニキータ・マゼピン(ハイテックGP)がティクトゥムを抜き6番手までポジションアップ。また後方では14番手まで順位を上げてきた角田が0.3秒前を行くルイ・デレトラズ(チャロウズ・レーシング・システム)を追い詰めていく。
路面温度が31度を越え、コースが明るくなり始めた13周目にミディアムスタート勢が続々とピットインを開始。ハードタイヤでスタートした角田はこのタイミングで首位から19.969秒差の暫定11番手となり、選手権4位で7番手を走るクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)までの5台がパックになって周回を重ねる。そして14周目にデレトラズを捉えた角田は10番手、暫定であるもののポイント圏内までマシンを戻してきた。
ルンガーとペドロ・ピケ(チャロウズ・レーシング・システム)がクロスラインを掛け合うバトルを展開して蓋をするなか、一度はデレトラズに順位を明け渡した角田はふたたび抜き返し、さらにジャック・エイトケン(カンポス・レーシング)をパスして9番手へ。
16周目にはペースに苦しんでいたルンガーがピットインし角田が8番手となる。また前方では3番手争いを展開していたニキータ・マゼピン(ハイテックGP)がジュリアーノ・アレジ(MPモータースポーツ)をアグレッシブに抜き去る。その翌周に2番手のアームストロングと4番手アレジがピットイン。これにより画面上マゼピンは2番手、角田は5番手となった。
18周目にはマゼピンら上位3台がピットインし角田が暫定2番手に。これで上位勢でタイヤを交換していないのは首位のシューマッハーと角田のみで、その7秒後方、暫定3番手にはポールスタートのアイロットが走行する。
ラップリーダーのシューマッハーと角田は19周目を終えて同時にピットイン、ミディアムタイヤに交換。シューマッハーは6番手、角田は16番手でレースに復帰。
スプリントレースでポールからスタートするためには8番手の確保が必要だ。角田は8番手ギオットと約11秒差で残り12周へ向かっていく。またコース上ではドルゴヴィッチがアイロットを攻略し首位に浮上、3番手はユアン・ダルバラ(カーリン)だ。
角田はライバルよりも2秒近く速いペースで周回を重ね、22周目には14番手、8番手まで約6.3秒に迫る。
中段から後方では各所で接近戦を展開。24周目にはマゼピンは7番手まで回復、角田はルンガーらを抜き去り一気に11番手へ。8番手ティクトゥムとは5.3秒差と、徐々にその差を短縮していく。
26周目、角田はゲラエルをホームストレートでDRSを使いクリーンにパス。ついにポイント圏内の10番手へ、さらに8番手ティクトゥムと1.8秒差に。ペースに勝る角田は27周目に9番手のギオットを、28周目にはティクトゥムを抜き去り、ついに8番手まで舞い戻ってきた。
さらに上位を目指す角田は一切の手を緩めず、29周目にはシュワルツマンを抜き去り7番手へ。前方では4番手を走るシューマッハーがダルバラの0.5秒後方に迫り、表彰台をかけた戦いのゴングが鳴る。
ペースに伸び悩むダルバラだが絶妙なライン取りでシューマッハーをブロックし最終ラップへ突入。だが上位4台は順位変わらずドルゴヴィッチが今季3勝目、フィーチャーレース初優勝を飾った。
2位にはアイロット、3位のダルバラは今季初表彰台。4位のシューマッハーは選手権首位をキープした。
ファイナルラップで上位争い以上に熱視線を受けたのが角田だ。アームストロングを交わして6番手に浮上。最後は前を行く5番手マゼピンのスリップストリームに入りながらチェッカーを受け、6位フィニッシュ。角田は最後尾から16台を抜き去り、さらにファステストラップを記録したことで選手権ポイント10点と、スプリントレース(決勝レース2)の3番グリッドを掴み取った。佐藤は20位でレースを終えている。
選手権上位6台は、203点でシューマッハーが首位。2位に191点のアイロット、3位に157点の角田、4位に150点のマゼピン、5位に145点のルンガー、6位に144点のシュワルツマン。依然として3〜6位の4名は13点差内に収まる僅差の戦いが続く。
スプリントレース(決勝レース2)は日本時間11月29日(日)の19時00分にスタートする。
■FIA-F2第11戦バーレーン フィーチャーレース(決勝レース1) 暫定リザルト
Pos. | No. | Driver | Team | Time/Gap |
---|---|---|---|---|
1 | 15 | F.ドルゴヴィッチ | MPモータースポーツ | 32Laps |
2 | 4 | C.アイロット | ユニ・ヴィルトゥオーシ | 14.833 |
3 | 8 | J.ダルバラ | カーリン | 19.376 |
4 | 20 | M.シューマッハー | プレマ・レーシング | 20.270 |
5 | 24 | N.マゼピン | ハイテックGP | 28.293 |
6 | 7 | 角田裕毅 | カーリン | 28.590 |
7 | 5 | M.アームストロング | ARTグランプリ | 31.361 |
8 | 21 | R.シュワルツマン | プレマ・レーシング | 43.868 |
9 | 2 | D.ティクトゥム | ダムス | 46.959 |
10 | 9 | J.エイトケン | カンポス・レーシング | 47.327 |
11 | 12 | P.ピケ | チャロウズ・レーシング・システム | 49.174 |
12 | 25 | L.ギオット | ハイテックGP | 49.294 |
13 | 1 | S.ゲラエル | ダムス | 50.590 |
14 | 3 | 周冠宇 | ユニ・ヴィルトゥオーシ | 53.775 |
15 | 22 | R.ニッサニー | トライデント | 53.816 |
16 | 11 | L.デレトラズ | チャロウズ・レーシング・システム | 55.957 |
17 | 14 | G.アレジ | MPモータースポーツ | 1’01.488 |
18 | 17 | T.プルシェー | BWT HWAレースラボ | 1’01.839 |
19 | 6 | C.ルンガー | ARTグランプリ | 1’03.086 |
20 | 23 | 佐藤万璃音 | トライデント | 1’05.576 |
21 | 10 | G.サマイア | カンポス・レーシング | 1’06.756 |
22 | 16 | A.マルケロフ | BWT HWAレースラボ | 1’16.019 |