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海外レース他 ニュース

投稿日: 2020.12.01 18:05
更新日: 2020.12.02 01:26

群雄割拠のフォーミュラEで勝つため、アウディ本体の技術者も動員した新型パワートレイン自社開発

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海外レース他 | 群雄割拠のフォーミュラEで勝つため、アウディ本体の技術者も動員した新型パワートレイン自社開発

 アウディは11月26日、ABBフォーミュラE世界選手権の“シーズン7”に投入する新型マシン、『アウディe-tron FE07(e-トロンFE07)』を公開した。公開に先立ち、アウディスポーツはフォーミュラEチーム代表のアラン・マクニッシュ、ドライバーのルーカス・ディ・グラッシ、プロジェクトリーダーのトリスタン・サマースケール、パワートレイン開発責任者のステファン・アイヒャーらが出席する技術プレゼンテーションをオンラインで行なった。そのときに開示された情報をまじえながら、FE07の技術詳細に触れていこう。

 その前に、フォーミュラEの状況を整理しておきたい。2014年から始まったフォーミュラEは秋に開幕し、翌年の夏に最終戦を迎えるカレンダーを組んできた。
 
 シーズン7も慣例にのっとって“2020/21シーズン”としているが、実際に開幕するのは2021年1月16日である(サンティアゴePrix/チリ)。2月27日に開催される第4戦ディルイーヤ(サウジアラビア)までのカレンダーは確定しており、それ以降のスケジュールは順次発表される予定。新型コロナウイルス感染拡大の影響だ。

 本来ならシーズン7から現行Gen2シャシーのアップデート版である『Gen2 EVO』が投入されるはずだった。Gen2 EVOは主にボディワークが変更されており、よりフォーミュラカーらしいルックスになっている。
 
 だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、Gen2 EVOの投入はシーズン8(2021/22)に先送りされることになった。コスト削減が狙いだ。

 こうした状況を受け、シーズン7の技術面はシーズン6を引き継いだ格好で行われる。目立った違いは、最低重量(ドライバーの全装備最低重量80kgを含む)が900kgから903kgへと3kg引き上げられることくらいだ。モーターの出力規定に変更はなく、最高出力は250kW。レースでは200kWで走るのが基本で、アタックモード時のみ235kW、ファンブースト使用時は250kWを引き出すことが可能だ。
 
 モーターとインバーター、ギヤボックスはチームが独自に開発することが可能(他チームから購入してもいい)な点に変わりはない。ギヤボックスケーシングが独自に開発できるので、付随してリヤサスペンションの仕様変更も可能になる。また、ドライブシャフトも変更可だ。

 シーズン1(2014/15)からフォーミュラEに参戦しているアウディは、7作目のe-tron FE07で大きな変更を行なった。これまでは技術パートナーであるシェフラーと共同でパワートレインを開発していたが、初めてインハウスで完全に新しいパワートレインを開発した。
 
 それが、モーター/ジェネレーターユニット(MGU)とインバーターがセットになった『アウディMGU05』だ。アイヒャーは「競争力を保つには、自分たち自身でパワートレインを開発する必要があると判断した。アウディ本体から専門の技術者を引き入れて開発に取り組んだ」と説明した。

アウディMGU05とパワートレイン開発責任者のステファン・アイヒャー
アウディMGU05とパワートレイン開発責任者のステファン・アイヒャー
ルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー) 2020/21フォーミュラE公式テスト
ルーカス・ディ・グラッシ(アウディスポーツ・アプト・シェフラー) 2020/21フォーミュラE公式テスト

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